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2009年12月01日(火)更新

これも販促ツール

いつもお世話になります。一條です。

今日は、販促ツールについてお話ししてみましょう。

といっても、普通の販促ツールではありません。
クレーム対策ツールが販促ツールになる話です。

では、早速いきましょう。


■美容液メーカーが受けたクレーム

今、女性向け美容液メーカーさんのお仕事をお手伝いしています。

美容液というのは面白いもので、有効成分の量を多くすればするほど、
それが肌に合わない人が出てきます。


「この美容液をつけたら、肌が赤くなった。」
今日も、このようなクレームが寄せられました。


■まさか自分が・・・

通常、このようなケースで大切なことは、まず購入される前に、
「まれに肌が赤くなる方がいる」という注意事項を見て頂くことです。


そうすれば、お客さんはその注意事項を見たうえで買うわけですから、
実際に肌に赤みが出たとしても、納得するはずだ。

と、思いたいのがメーカー側ですが、そうはいきません。


お客さんは、注意事項が書いてあろうが無かろうが、まさか自分が
そのような目にあうとは思っていないからです。

ですので、次に大切なことは、商品をお届する際に、
商品に注意書きを同梱することです。

そして、これが販促ツールになるのです。


■お客さんの「やるせない」気持ち

商品の注意書きが販促ツールになるって?


意外に思われるかもしれません。
そして、実際に、このことを意識している会社さんはほとんどない。

どういうことか、ご説明します。


通常の注意書きというのは、
・販売者(メーカー)が
・自分の責任を回避するために
用意するケースが多いです。

ですので、その内容は、美容液であれば、
・こういう症状が出る場合があります。
・症状が出たら、使用をやめてください。

という具合になっているのがほとんどです。


でも。

お客さんはこの注意書きで納得するでしょうか?
少し考えてみて頂きたいのです。


1回使って、肌に合わないことが分かった。

「肌に合わなかったら、使用をやめてください」

とも書いてある。


でも…。

自分が財布からお金を出して、購入した商品です。
ひょっとしたら購入までに、他の商品と何度も比較検討してから
買ったのかもしれません。

この商品なら、自分の悩みを解決してくれるのではと期待して
買ったのかもしれません。

それを、「肌に合わなかったら、使用をやめてください」のひと言で
片づけられてしまう。


もしも、次に何かを買おうと思ったときに、このメーカーの商品を
買おうとは思えなくなるはずなのです。


■メーカーに出来る【販促】の工夫

では、どうすればいいのか。

大きくはふたつあります。

ひとつめは、注意事項を相手のメリットから書き始めること。

ふたつめは、お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取る仕組みを作っておくこと。


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まずは、ひとつめのコツです。

コツ1.注意事項を相手のメリットから書き始める。
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注意事項を書くのであれば、相手のメリットから書き始めましょう。

例えば、肌に赤みが出るのは、有効成分の含有量が多いからです。
有効成分の含有量が多いのは、お肌によりよい効果を出すためです。

という商品なのであれば、相手(お客さん)のメリットは、
『お肌によりよい効果が出る』ことです。

ですので、ここから書き始める。

「お肌によりよい効果を感じて頂きたいので、有効成分の量を多くしています。
ただ、有効成分の量が多いので、人によってはまれに肌に赤みが出ることがあります。」


もしも相手のメリットが書いてなかったらどうなるでしょう?

「人によっては肌に赤みが出ることがあります」


どちらのメッセージの方が、お客さんは心安らかに読めるでしょう?

注意事項を書くのであれば、相手のメリットから書き始める。

これがひとつめのコツです。


■「やるせない気持ち」を汲み取る仕組み

さて、心安らかに読んでもらえるメッセージが出来た。
とはいえ、その商品は、そのお客さんの肌に合わないのですから、
もう使えないかも知れません。

だからといって、「お肌に合わない場合には、ご使用をおやめ下さい」では
お客さんは離れて行ってしまいます。

なぜなら、お客さんの中にある「やるせない気持ち」が放置されてしまうからです。

これからその商品を使えるにせよ、使えないにせよ、
お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取ってあげることは、
今後のためにとても大切。

ではどうすればいいか。

==========
ここで、ふたつめのコツです。

コツ2.お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取る仕組みを作っておくこと。
==========

例えば、このメーカーさんでは、
「お肌に合わない場合には、ご相談に乗らせて頂きますので、
フリーダイヤル0120-●●●-●●●にお電話ください。いつでも歓迎です。」
という案内をするようにしました。

電話をしたからといって、使えるようになるとは限りません。
でも、お客さんの「やるせない気持ち」は解消される。

メーカーさんはお客さんからの電話の中に、新商品のアイデアを
見つけることが出来るかも知れません。

何より、自社から離れて行ってしまうところだったお客さんとの
関係をつなぎとめることが出来る。


もちろん、この方法は、全国の小売店に大量に商品を卸している
メーカーさんには出来ないことかも知れません。
しかし、自社で直販をされているメーカーさんであれば、
どんな業種であってもマネができるノウハウでもあります。

そして、ライバルにも何をやっているのかもバレにくい。

このノウハウは、どんな業界にも応用できる内容です。
是非、アレンジして使ってみて頂くといいはずです。


マーケティング・トルネード
一條仁志