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2009年07月08日(水)更新

コンサルティングの現場から

こんにちは。
今日のコラムでは、実際にあった相談事例をご紹介します。

この方は、成功するような広告宣伝を作りたいと思いながらも、
あることで悩まれていたようです。

その悩みが、次のような質問という形で届きました。

****************************【質問】****************************
いま、とても悩んでます。
私は従業員50名の会社を経営してます。
私は●●を、個人ユーザーや法人ユーザーに営業して施工する仕事です。

新聞広告などをやってみるものの、見込み客からの問い合わせがありません。

そこで、いろんなノウハウ本などを読み漁り、広告を作ろうとするのですが、
『客の不安を煽りたてるような方法でも良いのか?』と不安になります。

効果はあるのかも知れないのですが、何か嫌な感じがするのです。

佐藤先生のご意見を、よろしければお伺いできないでしょうか?
勝手なお願いでなんですが、お時間許せばアドバイス願います。

*******************【以下、ひとつの回答】************************

佐藤です。
これは、ずっと前にいただいたご質問でしたが、
非常に具体的なご質問だと思います。

こうした事で悩まれている人が、実際には多くいます。

そこで、私が自社で発行しているメルマガにも書いた内容なのですが、
ここでも加筆修正してお話ししたいと思います。


さて、まず、この質問者さんの「不安」は部分的に正しいのです。

…っていうのは理由があります。
ちょっと次のキャッチコピーを比較してみて下さい。

【1】「なぜか不幸が続く厄風水の住宅(10症例)」

【2】「なぜか幸せが続く住まいの風水間取り8つのポイント」

両方とも、ガイドブックや無料DVDのタイトルにすると資料請求があります。
家づくりに関心をもつお客さんを集めるためのガイドブックというわけです。


さて、どちらが反響が良さそうですか?

(※実際の実例をご紹介すると支障があるので、
  タイトルは修正してありますのでご了承を)

おそらく【1】のほうが、反応は良いと思われるはずです。
実際に、資料請求の数自体は、【1】のほうが多いのです。


ところが、セールスを始めた途端に、困った事になる事が多いのです。
【1】の広告には、ネガティブなお客さんばかりが集まるからなのです。

息子が働かない。
結婚しない娘と母親の仲が悪い。
家族に病人がいてオカルトな原因を信じ込んでいる。
そんなお客さんが多くて、営業マンがセールスをしていても、
精神的に疲れるのだそうです。


確かに【2】だと、【1】よりは反応件数は少ない。
でも、反対に、とても良いお客さんばかりが寄ってくるのです。



つまり、「どちらのタイプのお客さんを集めたいのか?」
実を言うと、それさえコントロールが出来てしまうっていう事でもあります。

しかも、売上高で比較すると、【1】よりも【2】のほうが良くなったりするのです。

一般的に、激しく感情を揺さぶろうとすると、【1】までは極端じゃないにしても
そうした傾向に走ってしまう人が多いと思います。



もしかしたら、この質問者さんは、本能的にそれを
危惧しているのかも知れません。
ただ、その危惧をちゃんと理論的に説明できないだけなのかも知れません。

インターネットという世界になると、特にそうです。
「類は友を呼ぶ」と言いますが、
「広告は、それに共鳴した客を呼ぶ」のです。

ぜひ、ちょっとだけでも参考にしてみて下さい。


あなたはどんなお客さんと一緒にいたいですか?

それを考えることは、とても大切だと思います。


以上




株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年07月01日(水)更新

テコ入れの優先順位

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


先日、ある歯医者さんから、歯のホワイトニング広告を作りたいという、
広告制作のお問い合わせを頂きました。


無痛治療の分野では人気らしく、患者さんからの評判も上々。
ただ、その人気ゆえに、予約が取りづらかったり、
待ち時間が長くなってしまうことがあるとのこと。

そのため、リピート対策は行っているものの、
流出していく患者さんも多いのだそうです。

そこで、院長先生が思いついたのが、
利益の大きいホワイトニング(歯を白くする審美治療)を
チラシ一発で売ること。


同じビル内にやってくる人にハブラシを無料配布しながら、
ホワイトニングのキャンペーンチラシを
一緒に渡そうと思い立ったのだそうです。


一方、当方にはどんな形で打診があったのかというと、
「歯ブラシと一緒に渡すキャンペーンチラシを作ってほしいのですが・・・」
こんな感じでした。


ただ、私たちをマーケッターと見込んでのご相談であることは、
こちらも百も承知です。効果が見込めるものなのかが分からない状態で
「はい。分かりました」と引き受けるわけにもいきません。


そこで、「分からないことはお客に聞け」という佐藤の言葉通り、
色々と現状について質問をさせていただいたのです。


すると、どうやら今回のキャンペーンは、うまくいかないような気がしました。
新規でいきなりホワイトニングをお願いしてきた患者さんが
今まで一人もいなかったからです。


「・・・やっぱりか・・・」と思い、もう少しヒアリングをしてみると、
ホワイトニングを受けられる患者さんは、決まったステップを
踏んで患者さんになられていることに気づいたのです。

治療が終わったばかりの患者さんに提案を行うと、
非常に高い確率でホワイトニングサービスに興味を持たれるのだといいます。


ということは、患者さんに一度でも診察台に乗っていただけさえすれば、
効率的にホワイトニングを受注することができるのではないか?

治療後のトークを院内で標準化するほうが、
全体の底上げに寄与できる可能性が高いのではないか?


結局、新規のホワイトニング客を捉まえることが得策ではないと思った私は、
失礼を承知で

「それなら、今回の集客アイデアはうまくいかないかも知れません。
 歯ブラシと一緒に案内をすべきは、ホワイトニングではなく、
 むしろ新規の歯科検診ではないでしょうか?
 (もちろん、治療直後というタイミングを創出するために)」



これには先方も非常に納得がいった様子で、
とりあえず今回のキャンペーンは見送ることになりました。


そんなわけで、今回のお仕事はなくなってしまったわけですが(苦笑)
せっかくのやる気に水を差してまで進言させていただいたことには、
理由があるのです。


集客の柱を複数つくる取組みは重要だと分かっています。
その実現には、さまざまなトライが必要なことも知っています。


だからこそ、クライアントさんには、
なるべく大失敗のないチャレンジをしてほしいと願っているのです。

業績アップのヒントは、毎日の企業活動の中ですでに示されていることが
多いものです。

「どうすれば儲かるのか?」ではなく、
「どうすればあの状況を再現できるのか?」

こんな観点から今の仕事を見直してみられるのも、
たまにはよいかも知れません。

なぜなら、マーケティングは科学なのですから。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年06月26日(金)更新

お客さんが買いたくなる商品?(新規事業の近道)

こんにちは。マーケティング・トルネードの一條です。

今、アメリカに来ています。
6月の1か月間、現地の企業さんにコンサルティングを提供しています。
こちらにきてもう2週間が経ちました。

アメリカの経済事情は、日本に比べるとずいぶんと悪い。

私が滞在しているロサンゼルスでは、いまや週休3日の企業が当たり前。
多くの企業が、あの手、この手を使って生き残りに奮闘している状況です。

そういう状況からか、コンサルティングでは、必ず新規事業について聞かれます。

新規事業の立ち上げ方については、以前、このコラム(※)でもお話ししましたが、
今日はまた別の、新規事業を軌道に乗せるコツをお話ししようと思います。

※2009年02月20日(金)更新コラム「超・自然体での新規事業立ち上げ 」
 http://board05.keikai.topblog.jp/blog/101/index.html


■広告を打つその前に!

新規事業を考えるとき、とても大切なことは、

1.誰に
2.どうやって

新しい商品やサービスの提供をはじめたことを伝えるのか、です。


「新しい商品(サービス)なんだから、まずは広告を打って・・・」
「テレアポ?」
「折込チラシ?」


その気持ちも分かります。
だって、新規事業ですから。
出来るだけ多くの人にアピールしたいと思うのは当然なのです。

しかし、いきなり広告を打ったり、電話営業をしたり、新聞にチラシを
折り込む前に、やってみて頂きたいことがあります。

それは、新しい商品・サービスを、ご自分にとってすごく近い人に
使ってもらうこと。

ご家族かもしれません。
とても親しい友人の方かもしれません。

いずれにせよ、ご自分にとってすごく近い人に、一度、新しい商品・サービスを
使ってもらって下さい。

そうすると、いろいろな意見が返ってくるはずです。
厳しいコメントもあるかもしれませんし、思いもしなかった良いところを
ほめてもらえるかもしれません。

それらのコメントをもらったら、それを新商品・新サービスに反映させてみる。
つまり、新商品・新サービスの改訂版を作るのです。

それが終わったら、今度は、自社をひいきにしてくれているお客さんの
何人かに、その改訂版を使ってもらいましょう。

そうするとまた、いろいろなコメントが返ってくるので、
それらをもとに、商品・サービスを改訂する。改訂版の改訂版ですね。

それが終わったら今度は、その他の既存のお客さんの何人かに、
その改訂版の改訂版を使ってもらう。

そしてまた、コメントを集めて、また商品・サービスを改訂する。

この時点で、新商品・新サービスは当初とはまったく違った形に
なっているかもしれませんし、最初の商品・サービスとほとんど
変わらないかもしれません。

いずれにしても、このプロセスを経ることで、いまや御社の
新商品・新サービスは、お客さんが「欲しい」と思うものになっているはず。

あとは費用と効果を測りながら、広告を打ったり、電話営業をかけたり
といった販促をしていけばいい。

これが新規事業を軌道に乗せる近道です。


■遠回りに見えるけど

「そうは言っても、そんなことやってたら、時間だけが経っちゃうよ・・・」

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このプロセスを3日でやってしまうことも出来る。
このプロセスにどれぐらいの時間をかけるかは、会社によって違います。

ただ、確実に言えることは、新規事業をどんどん立ち上げて軌道に
乗せている会社さんは、知ってか知らずか、何らかの形で
このプロセスを経ています。


その一方、今も多くの会社さんが、新規事業を立ち上げるために、
いきなり広告を打っています。

でも、考えてみてください。
新しい商品、新しいサービスです。

それがどんな評価を受けるかは、商品・サービスを提供している側にも分からない。
この状況で反響の高い広告を作るのは、とても大変な作業だと思うのです。

しかし、今日ご紹介したプロセスを経た場合には、まったく違います。
すでに使用者のコメントを通して、何が評価されているのかが分かっているからです。

この情報があれば、反響の高い広告を作ることも難しくはありません。
その結果、短い時間と少ない費用で新規事業を立ち上げていくことが出来る。

一見、遠回りに見えますが、これが一番の近道なのです。


■御社の「宝物」

さて、冒頭にアメリカの経済状況は、日本よりも相当悪いと書きました。
しかし、アメリカの社長さん、従業員さんには、悲壮感がないのです。
国民性といってしまえばそれまでですが、だからこそ、町には笑顔が
溢れているのかもしれません。

ひるがえってみて、御社はいかがでしょう?
今日、ご紹介したプロセスは、既存のお客さんがゼロの会社さんには
取り組むことが出来ないプロセスです。

御社の既存のお客さんはゼロですか?

もしゼロでなければ、それだけでもうけもの。

ぜひ、このプロセスを活用して、御社の事業に役立てて頂ければと思っています。
それではまた次回、この場所でお会いしましょう。



マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年06月09日(火)更新

なぜあんな商品で儲かるのか?

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。

先月初旬に始まった新型インフルエンザの問題には、
大変な苦労をされた方もいることと思います。

私のクライアントさんの中にも、せっかく苦労して集客したイベントを、
直前になって中止せざるをえない状況に陥ったと、
かなり厳しい経験をされた方もいました。


一方、今回の騒動は、思いもよらない特需を生み出しました。
ご存知の通り、マスクやアルコール消毒といったウイルス対策商品です。


なかでも、サージカルマスクの需要は尋常ではなく、
店頭はもちろん、楽天、アマゾン、ヤフーショッピング、
ケンコーコムなど、主要なモールでも在庫切ればかり。


楽天市場の売れ筋ランキング上位30位までが
すべてがマスクという異様な光景もありました。
(あ、でも生キャラメルは相変わらず強かったですね。)


さて、このランキングに登場していたお店には、
2つのタイプが存在したようです。


ひとつは、高機能で比較的高価な多機能マスクを販売しているショップ。
もうひとつは、60枚で800円程度のお値打ちマスクを販売していたショップ。

実は、後者のほとんどは、普段マスクなんて取り扱っていないお店でした。
どうやら、必死に在庫を確保されたようです。


でも、大量仕入れで仕入価格を抑えることはできても、
もともと商品単価が安いもの。
マスク単体の販売で利益を上げることは難しいはずです。


なぜ彼らはこんなに苦労をしてまで
儲からないマスクを販売したかったのでしょうか?


それは、ハウスリストの重要性を分かっているからです。

通販型ビジネスに限らず、顧客リストは企業の生命線。
とりわけ、自社の商品やサービスに興味を持ってくれた方のリスト、
つまり自力で構築したハウスリストの存在は、
事業全体を左右するほどの財産となります。


そのハウスリストを構築するために、
最初に買ってもらう集客商品のことをフロントエンドと呼ぶことがありますが、
このフロントエンドに何を持ってくるかで、
突破口の開き具合が大きく変わってくるのです。


ここでマスクを買ってくださるお客さんは、
ネット通販という販売手段に抵抗がない方。
将来、他の商品を買ってくれる可能性も高いでしょう。

今、必要とされているものを、利益ナシでも提供する。

いち早くマスクを集客商品として選んだショップさんは、
今回の特需で膨大な顧客リストを手に入れたことと思います。


もちろん、一部の業者による過熱ぶりに世間の批判が集まったことも事実です。


しかし、こうした機会を、本当の意味で上手に利用されたショップさんは、
お客さまにも感謝されながら、優れたリストも手に入れるという、
WIN-WINの関係を築いたはずです。


あなたがもしこれから、「なぜあんな商売で儲かるんだ?」という疑問を
持つことがあったなら、その裏側の事情を少しだけ想像してみてください。
そうした疑問の繰り返しが、マーケッターとしての糧になっていくはずですから。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年06月02日(火)更新

マーケティング・トルネード佐藤からのご案内

マーケティング・トルネードの佐藤昌弘です。
日本実業出版さんから新刊を出させて頂くことになりました。


『凡人が最強営業チームに変わる魔法の営業ミーティング』


「おいおい前作とほとんどタイトル一緒じゃねーか」とか、
「凡人(ひとり)が、チームって変じゃねーか」とか、
まぁ、いろいろと突っ込まれどころ満載です。


しかしですね、すでに試し読みをして頂いた感想によれば、

◆新しく営業ツールを社内に導入しようとしても、
 懐疑的で特にベテラン営業マンが前向きになってくれない。

◆なんだか支店長クラスがなかなか育たない。

◆たった独りのデキル営業マンに依存してしまっている。

こうした難題を解決するのに役立ってくれるはずです。


今日は、その本について少し宣伝もかねて、ご紹介させて下さい。

この本に書かれている内容をシンプルにお伝えするために、
とても都合のいい話があります。

それは学校の勉強についてです。


小学生のA君は、宿題で間違えました。

次の数式のように間違ってしまったのです。
どこが間違えていますか?
12÷3=36

そもそも答えは「4」です。
きっと「÷」と「×」を間違えたのかも知れないですね。

さて、次も間違えないように、A君はどうしたらいいでしょうか?

そうなんです。
割り算の意味や、掛け算というものへの理解を、もう一回、ちゃんと
すれば間違わないようになるはずです。


どうでしょうか。
これと同じことをやると、うまく行かない営業ミーティングになる
事が多いんです。

簡単に言ってしまえば、学校の勉強とは異なり、
営業という答えのない世界では、うまくいかなかった理由を、
どれだけ考えても解決にはなかなか結びつかないという事なのです。


「1000の売れなかった理由を見つけても、売れるようにはならない」
そんな冒頭から始まるのが、この本です。

理由は単純です。
だって売れない理由がわかったところで、売れるようにはならないのです。
大切なのは「なぜ売れたのだろう?」を追究ていくことだと思うのです。
そこに売れる理由があるのですから。


「たった1つの売れる理由が見つかるほうが、はるかに売れるようになる」


それをステップバイステップで、営業ミーティングとして
やっていく手順を解説している本というわけです。

気持ちよくしてくれる自己啓発本とは違って、
泥臭くて恐縮ですが、それでも日々の現実問題を解消していくために、
役立てて頂ければ幸いです。

この新刊については、どこでもお話ししていませんでしたので、
ここで初めてのご紹介となります。


ぜひ、お買い求め頂けると嬉しいです。
インターネット書店のAmazon でも、予約受付中のようです。


追伸:
今回は珍しく、キャンペーンを予定しています。

http://www.marketingtornado.co.jp/books/meeting.html
もくじや詳細もご案内していますので、
もしよろしければこちらもご覧いただければ幸いです。




株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

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