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2009年02月20日(金)更新

超・自然体での新規事業立ち上げ

マーケティング・トルネード一條です。

先日、弊社の近所で桜が咲いているのを見かけました。
早く咲く種類なのでしょうか。少しずつ高くなってきた
太陽の光に照らされている薄いピンクの花びら。
なんだか春を先取りした気分になれました。

さて、今回は、新規事業の立ち上げ方についてお話をすると言いました。

ちょうど、新しいクライアントさんから、新規事業の立ち上げ
についての相談を頂いているので、ご紹介します。


この会社さんは地元で55年間、工務店を続けてこられた会社さんです。

これまでは、ゼネコンさんや、地元の別の工務店さんからの
仕事の請負が売上の柱だった。

しかし、請負にばかり頼っていると怖いので、自分でお客さんから
仕事を受ける新規事業をスタートさせたい。

どうすればいいのかという相談を頂いたわけです。


■ 超・自然体の新規事業スタート


世の中には、たくさんの、『新規事業立ち上げノウハウ』があります。

新規事業というと、「新しいことをするのだ!」という
決意に満ちた顔をされる社長さんもいらっしゃる。

相当の気合いを入れて、全力で新しい取り組みにぶつかっていく。
こういう方法がうまくいくこともあると思うのです。


でも、あえて私は、少し肩の力を抜いた
【超・自然体での新規事業の立ち上げ】をお勧めしています。

そうすることで、『そもそもムリな事業』に手を出さなくても
よくなるからです。


■ 御社の中にある資源を徹底活用!


この【超・自然体での新規事業立ち上げ】のやり方は、とても簡単。
下記の3つのステップで完了です。

 ◆ステップ1.
  まず、これまでのお客さんのリストを出してくる。

  この中には、既存のお客さんもいれば、見込みはあったけど
  まだ買ってくれていないお客さんもいてOKです。

  可能であれば、リストは紙で用意できるとなおさらGOODです。


 ◆ステップ2.
  そのリストをペラペラとめくりながら、次の質問に答えてみる。

  「この人・会社から問い合わせを受けたけど、断ったことは何だった
   だろうか?」

  どんな会社でも、5つくらいは、『問い合わせを受けたけど断ったこと』
  があるはずです。
  多い会社になると、10とか、20とかになることもある。
  それでOKです。
  お客さんのリストをめくりながら、出せるだけ出してみて下さい。

 ◆ステップ3.
  上記の2で書きだした項目を見ながら、『今、すぐ出来ること』
  は何かを考えて、やってみる。


これだけです。


このプロセスを行った結果、ある建材屋さんは、
入浴剤用に【ヒノキの削りクズ】を販売することになりました。

法人に文房具を届けていた文房具屋さんは、
引っ越し用に【自社のミニバン】を、貸し出すようになりました。


いずれも、これまで問い合わせを受けてはいたけれど、
断り続けてきた内容が新規事業になったのです。


建材屋さんはそれまで、通りがかりの人から「このヒノキの
削りクズ、ちょうだいよ」と言われていたのを断っていました。
ヒノキの削りクズなんて、ゴミだと思っていたからです。


文房具屋さんは、時々、「このミニバンって、借りること出来ませんか?」
と聞かれていたのを、断っていました。
だって、自分たちは文房具屋さんであって、レンタカー屋さんではないからです。


しかし、です。

そもそも、お客さんは、
【自分が欲しいものをドンピシャで扱っている会社】
があるのであれば、その会社に問い合わせをしているはずです。

また、もしも御社が、
【そのお客さんが欲しいものをゼッタイに扱っていなさそうな会社】
に見えるなら、問い合わせすら受けていないはずです。


つまり、御社がこれまでに「これ、出来ない?」と聞かれたけれど
断ってきた内容は、

・それを扱うドンピシャの会社がなく
・かつ、御社に扱えそうな商品・サービス

であるわけです。


当然、競合もいない。

まさに、新規事業天国です。


もちろん、少しばかりのアレンジは必要かも知れません。
上記でご紹介した建材屋さんは、これまで捨てていたヒノキの
削りくずを、冷凍ミカンが入っているようなナイロンの網袋に入れました。

文房具屋さんは、お客さんにミニバンだけを貸すのではなく、自社スタッフ
が運転をするという条件で、【運転手つきミニバン】を貸し出すようになりました。
文房具の配達がない日だけ、の限定です。


しかし、大きな初期投資はかからない。

結果、最小のコストで新しい事業が立ち上がっていったのです。


最初は小さな一歩かもしれません。
しかし、どんなに小さくても、芽さえ出れば、それでいい。

1あるものを100にするノウハウはいくらでもあるからです。

けれど、0を1にするのはとても難しい。
だからこそ、
『これまでに問い合わせを受けたけど、断ってきたこと』
を確認してみるのです。



ただやみくもに広告やチラシを使ったパワーマーケティングを考える前に。

新規事業を始める際には、是非、思い出して頂きたいと思っています。



冒頭でご紹介した工務店さんには、今の事業を伸ばすアイデアと一緒に、
「これまで問い合わせを受けたけど断ったこと」の棚卸しを
アドバイスしました。

どんな結果が出るか?
あっという間に立ち上がっていく新規事業のネタが
見つかるかも知れません。

またこのブログでもご紹介していきますね。




マーケティング・トルネード
一條仁志