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2009年04月21日(火)更新

見込み客の質を向上させる方法

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


多くの企業ホームページにとって、最終的な出口となるフォームページ。
お問い合わせや見積もり依頼、お申し込みなどがこれに当たりますね。


フォームの最適化を行うことでコンバージョン(申し込みや成約)を
高める取り組みを、EFO(Entry Form Optimization)などと言われたり
することもありますが、それだけフォーム設計の重要性が問われていると
いうことなのでしょう。


さて、ユーザビリティ(操作性や利便性)の観点からすると、

・入力途中でユーザーを迷わせない
・なるべく面倒をかけさせない
・誤解を生じさせない

などの取り組みも大切です。


しかし、それと同じくらい気を遣ってほしいことがあります。

それは、質問項目をもっと増やしてほしいということです。

「え? それって、入力作業の面倒をなくす取り組みとは真逆なのでは?」

あなたがそう思われるのも、無理はありません。

しかし、私たちの経験を信じて頂けるのなら、
ユーザーは、入力作業が面倒だから離脱するわけではないのです。


もう少し説明します。

フォームの改善でよくある間違いが、
「入力項目を出来る限り少なくする」というものです。

ユーザーの負担が減るわけですから、一見、正しい取り組みのように思えます。
事実、入力項目を減らすことで、問い合わせの数は増えます。
けれども、入力項目を削れば削るほど、見込み客の質も低下してしまいます。


では、問い合わせ数を向上しながら、見込み客の質も維持するには、
一体どうすればよいのでしょうか?

実は、それほど難しいことではありません。

「あなたが聞きたいと思っていること」を聞くのではなく、
「ユーザーが伝えたいと思っていること」を聞いてあげるのです。

年齢や年収、家族構成、趣味、買い替え時期などの情報は、あなたが聞きたい
情報であって、ユーザーが答えたい情報ではありません(ついでに申し上げると、
そうした情報は役に立たないことが多いです)。

しかし、

・なぜこの商品に関心があるのか
・なぜ今のタイミングなのか
・どのような期待を持っているのか、
・どのような悩みを抱いているのか?

などといった類の質問は、ユーザーがあなたに知っておいてほしい情報なのです。


あなたが家や車を買おうかどうか迷っている時、
年収や家族構成などを聞かれても答える気にはなれないでしょう。

しかし、何も質問してくれなかったとしたら、それはそれで不安ではありませんか?

「この人は、本当に私の望むものを提供しようとしてくれているのかしら?」と。


ホームページでも同じなのです。

「あぁ、この人はちゃんと私のことを気遣ってくれている」
「ちゃんと私の事をわかってくれようとしてくれている」

そのことが、フォーム上から感じられなければならないのです。

フォーム画面は、あなたとユーザーが初めてコミュニケーションを行う場です。

あなたのホームページに掲載されているフォームは、
適切な質問が設けられているでしょうか?




株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年03月06日(金)更新

同業に笑われるくらいで丁度いい

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。

真面目で、勉強熱心で、責任感が強く、
深い専門知識を持っているサイトオーナーほど、陥りがちなミスがあります。

それは、「書いてある文章が難しい」という問題です。

弊社のクライアントの例で言うと、
「就業規則の作成」というサービスを売っている社労士さんや、
「法手続きの代行」というサービスを売っている行政書士さんなど、
専門的なサービスを提供している方に多くみられる現象です。

けれども、ホームページにやってくるお客さんは、
あなたの仕事やサービスの内容をを知り尽くしているプロではありません。
分からないからこそ、情報収集を行っているのです。

「分からないこと」「できないこと」を肩代わりするサービスを
提供しているにもかかわらず、一定の知識を持った人にしか
理解できない文章で埋め尽くされているとしたら、どうでしょう?

「そこに書いてある文章を読みこなせるくらいなら、アンタに頼んじゃいませんよ。」
という声が聞こえてきそうです。

では、どうすればよいのか?月並みな言い方になりますが、
「簡単で、簡潔で、分かりやすい」文章を作成するように
心がけて頂きたいのです。

具体的には、

・一文を短く
・平易な言葉でわかりやすく
・ときには比喩や別のものに置き換え

といった、あなたなりに翻訳する努力を行ってほしいのです。

これはなにも、面白い文章を書いたり、文法的に間違いのない文章を
書けっていうわけじゃないんですよ。


たとえば、パソコンに搭載されている、「メモリ」と「ハードディスク」。
両者の違いを説明しなければならないとしたら、あなたならどう答えますか?

「メモリは机の大きさで、ハードディスクは引出しの大きさ。
どちらも大きいに越したことは無いけれど、最後は財布と相談だわな。」
こんな説明をするかもしれません。

なんとなく分かったような気になりますが、
コンピュータの専門家から言わせると、何も説明されていないに等しいですよね。

でも、それでいいんです。
お客さんからすれば、あなたが自分の期待に応えてくれそうな人なのかどうか、
吟味するための材料としてあなたからの情報を受け取っているのですから。


そういうと、こんな心配をされる方がいます。

「あまり簡単な文章ばかりだと、同業からバカにされるんじゃないかと心配なんです。」

でも、よく考えてみてください。

あなたの情報を必要としている人は、あなたのライバルではないはずです。
あなたが情報を提供したいと思っている人も、あなたのライバルではないはずです。

それは、店舗を営む焼き肉屋さんであっても、
カー用品を取り扱うショップであっても、
専門サービスを提供している先生であっても同じ。

あなたが向き合うべきお客さんが誰なのかを考えれば、
そこで使われる言葉や表現も、きっと変わってくるはずです。

「分かりやすい」からこそ、親しみも持てるわけです。
「理解できる」からこそ、関係も築けるのです。

もちろん、内容を正確に保持したまま、分かりやすく噛み砕いて
表現することは至難の業です。ときには、分かりやすさを優先するが故に、
中途半端な情報になってしまうことへのストレスを感じることもあるでしょう。

しかし、忘れないでほしいのです。
あなたの情報を待っているお客さんは、あなたのビジネスのプロではない事を。
だからこそ、あなたの言葉で翻訳されたコンテンツには価値があるのです。


そうです。
ホームページに掲載する情報は、同業に笑われるくらいで丁度いいのです。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年02月13日(金)更新

お客さんは、いったい誰?

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティングトルネードの巽です。

先日、サイトリニューアルを検討しているという方からご相談がありました。
ある教材をネット販売しているそうなのですが、サイトの開設以来、
注文が全くないのだそうです。

本人いわく、売れない理由が分からない。
だからリニューアルを繰り返すといった悪循環で、
これまでにかかった費用は数百万円に及ぶそう。
このままでは資金が底をついてしまうということで、
お問い合わせをいただいたようでした。


確かに、実際のサイトを見てみると、素人さんが作った外観ではありません。
デザイン処理もなされていて、写真素材等のクオリティも悪くない。
素人目からすると、儲かっていそうな雰囲気さえするサイトでした。


しかし、私にはどうしても引っかかることがありました。
それは、誰にとって役立つ商品なのか、全く理解できなかったからです。

そこで私は、単刀直入にこう聞いてみました。
「ところで、誰に向けてのリニューアルのご予定なんですか?」

すると、帰ってきた答えは、
「誰というより、売上アップのためのリニューアルです。」


この時点で私は、「今はまだ、その時期ではないな。」と感じました。
というのも、誰のために作るサイトなのかを把握できていない状況では、
売れるホームページなど作れるはずがないからです。

ネットマーケティングをうまく機能させるには、

1.自分のお客さんは誰なのか
2.彼らは何を求めているのか
3.自分はお客さんにどのようなメリットを提供できるのか
4.その根拠は何なのか?

を1セットで考える必要があります。

つまり、「自分のお客さんは誰なのか」の特定こそが、
全ての始まりだといっても過言ではないのです。

もちろん、それは仮定であっても構いません。
何事も試行錯誤はつきものです。

大切なことは、自分がいま取り組んでいることが、
上記のセットのどの部分に該当することなのかを強く意識すること。
それだけで、見当はずれなリニューアルの誘惑から免れることができるはずです。


ちなみに、冒頭のご相談者さんのリニューアルは、丁重にお断りしました。
なぜなら、今の彼に必要なことは、リニューアルではなく
自分のお客様が誰なのかを知ることだからです。

弊社にお金を使っていただければ、確かに弊社は儲かりますが、
もう2度と、同じ間違いを繰り返してほしくなかったのです。

けれども、もし彼が「●●の人のためにリニューアルをしたいんです」と
声をかけてきてくれたなら、その時は喜んでお手伝いしたいと思います。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年01月23日(金)更新

インターネットの落とし穴

こんにちは。
マーケティング・トルネードの巽です。

さて、今日は前回の続きです。
インターネットには、他の手段や媒体とは、大きく異なる特性が
あるとお話ししましたが、みなさんは何だと思われますか?

先に答えを言ってしまうと、「何でもできてしまう」という性質なのです。

「なんのこっちゃ?」と、拍子抜けされた方もいるかもしれませんが、
実は、これが色々とやっかいな問題を引き起こすのです。

例えば、ホームページでの集客に悩む方に、
そもそもホームページを作った目的をうかがうと、

「そりゃ、会社の事を知ってもらって、
 注文をしてもらうために決まってるじゃないですか」

と真顔でお答えになります。けれども、

「では、まだ見ぬお客さんは、どんな経路で御社のサイトの存在を知り、
どんな条件がそろうことで注文に至るのでしょう?」

と聞いてみると、途端に浮かない顔をされる方が多いのです。

つまり、「大きな目標や期待」はあるものの、
それらを実現するための「小さな手段」が曖昧なまま運用されているケースが
圧倒的に多いのです。

これがオフラインでの取り組みであったなら、
チラシの反応がまずかった時点で、何らかの手を打ち始めることでしょう。
マーケティングプロセス全体の中で、どの部分の流れがスムーズではないのかが、
分かりやすいからです。

しかし、これがインターネットになると、どの部分に手を入れればいいのか、
的確に判断できる会社さんはまだまだ少数です。
様々な役割を持たせられるインターネットならではの悩みと言えるかも知れません。

その結果、どこを改善すべきなのかはっきりしないまま、
なんとなくリニューアルを繰り返す会社さんが多いのです。

こうした状況から抜け出すには、どうすればよいのでしょうか?
それには、まずはサイトに担わせる役割を明確に決めることです。
慣れないうちは、その役割は1つ。
それも、できるだけシンプルな方がよいでしょう。

例えば、チラシの情報の補完をすることだけを当初の目的にしてみる。
現場見学会のチラシを3万枚配っているのなら、
当日の見どころを詳細に説明したサイトがあることをチラシに掲載しておく。

あなたが動画で話している姿を掲載してもいいし、
デジカメの写真を手当たり次第に貼るだけでも良いんです。
別に、「いかにも企業のホームページ」みたく、小奇麗なデザインにする必要はありません。

なぜなら、「信頼を持っていただく」「安心感を持っていただく」という役割は、
また次のステップで実装すればよいのですから。
(次に何をすればよいかは、実は、閲覧者が教えてくれることになるのです。)


仮に来場者が5人だったとしても、50人がサイトを見に来てくれていたのだとしたら、
次の一手を考えるのが楽しくなってきませんか?

そうした小さな成功の積み重ねが、モチベーションを長く保つ秘訣であるとともに、
ホームページを大きく育てるきっかけになります。

幸いなことに、インターネットの世界は、
あらゆる結果を数字として残すことができます。
あなたがホームページを運営する目的は何でしょうか?
今一度、ご検討いただければ幸いです。

では、また次回お会いしましょう。


株式会社マーケティング・トルネード
巽 大平

2008年12月22日(月)更新

ネットが難しくなる理由

経営者会報ブログをご覧の皆さん、はじめまして。
株式会社マーケティング・トルネードの巽です。
今回からリレー形式で参加させていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。

さて、私の仕事も、クライアント企業さんの業績を伸ばすためのお手伝いです。
佐藤からの案内にもありましたが、弊社には3人のコンサルタントがいます。
佐藤、一條、そして私です。

それぞれが自分の強みを生かしたコンサルティング方式を採っていて、
ご案内も各自がそれぞれ行っています。
そのため、コンサルティングの提供方法も、提供価格も三者三様。
リリース当初は、
「誰に相談を依頼すべきか、クライアントさんが迷うのではないか?」
という心配もあったのです。

ところが面白いもので、それぞれに集まってくれるお客さんの側は、
意外と住み分けがなされているようで、各々に寄せられる相談内容には、
かなりの偏りがあるようです。

私に限って言うと、セールスレターと呼ばれる販促ツールの添削依頼や、
看板・チラシ・雑誌広告などのデザイン、インフォマーシャル(情報提供型広告)や
ラジオCMなど、クリエイティブに関するご相談が多いです。

なかでも特に多いのが、インターネット関連のご相談です。
年々便利になっていくインターネットの世界ですが、いざ提供側に回ると
「何から手をつけたらいいのか、さっぱり分からない」という
ご相談をよく受けます。

厳密にいえば、「ネットに何を期待していいのか分からない」、
もっと言えば、「ネットでお客さんなんか取れるのか?」というのが、
本当のところではないかと思います。

確かに、ここ何年かの間に、インターネットの世界は急激に複雑になりました。
それはまるで、目の前に巨大な迷路が出現したかのようです。
しかし、中小企業でも実現可能で、かつ有効なインターネット活用法が
ないのかと言われれば、決してそんなことはないと思っています。


そもそも、なぜインターネットはこんなにも難しくなってしまったのでしょうか?

思えば、今からほんの10年前は幸せな時代でした。
メールマガジンを出せば簡単にモノが売れましたし、検索エンジンでの
上位表示対策だって、今とは比べ物にならないほどに簡単でした。
おまけに、オークションにモノを並べているだけで、勝手に毎日高値で
落札されていく。そんな時代が確かにあったのです。

マーケティングの世界では有名な用語に、アーリーアダプターという
言葉があります。これは、新しい技術や製品に積極的に興味を示す層のことを
表しています。こうした新しいモノ好きたちの存在があるからこそ、
量産化や低価格化などのダウンサイジングが進行していくのです。

インターネットは、アーリーアダプターたちにとって格好の遊び場でした。
それは、企業にとっても好都合なことでした。
なぜなら、インターネット黎明期にインターネットを積極利用する層は、
新しいことにチャレンジすることを厭わないユーザーです。
つまり、見込み客の大多数を占める新しいモノ好きの好奇心を満たすには、
インターネットにお店が存在するということだけで十分だったのです。

しかし、新しい取り組みに積極的な企業と、新しいモノに好意的な
ユーザーで均衡状態が保たれていた市場が、急速にバランスを崩し始めます。
ご存じのとおり、ADSLやFTTHといった通信回線の爆発的な普及です。

そのため、それまで「一部のマニアの世界」だと思われていた
インターネットの世界に、多数の追随者が参加することになりました。
そして、ユーザーの多様なニーズを満たさんがために、
インターネットは驚くべきスピードで「細分化」を起こし始めたのです。

そのため、企業はどこにどんな広告を行えば、メッセージを効果的に
届けることができるのか、わからなくなってしまったのです。
それこそが、中小企業のインターネットへのチャレンジを難しくしている
本当の理由ではないかと思います。

ただ、インターネットが複雑化した今になって、改めて思うことが
たくさんあるのです。
それは、オンラインもオフラインも関係なく、下手をすれば時代すらも
関係のない「原則」らしきものがいくつか存在するのだということです。

そこで、これからしばらくは、ホームページを持つ目的について
お話ししてみたいと思います。いまや、企業がホームページを持つことは
当たり前になっていますが、詳しくお話を聞いてみると、明確な狙いを
持ってホームページを運営している企業は驚くほど少ないのです。

なぜこのようなことが起こるのか?
それは、インターネットには、他の手段や媒体とは大きく異なる特性が
あるからなのです。
そこで次回は、この特性について掘り下げながら、企業にとっての
ホームページの役割についてお話ししてみたいと思います。

株式会社マーケティング・トルネード
巽 大平