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2010年01月06日(水)更新

不況の歩き方 番外編2

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


さて前回は、読売ISさんから送られてきた折込統計資料を
見ていて気がついたことをお話しした。
マスメディアが言う通りの不景気が、該当しない業界が、
こうした統計資料から見てとれるという話だった。


そこで、今回は、まったく話が変わるが、
新聞へのチラシ折り込みという方法で稼いでいた、
私の経験談をお話ししたいと思う。

それは、1枚のチラシを印刷するコストについてだ。

折込チラシのコストは、印刷代、折込代、この2つに大きく分かれる。

一般的には折込代は、ディスカウントが難しい。
コストダウンが難しいのである。

しかし、チラシの印刷コストは、努力次第で下げることが出来る。
それがきわめて重要なのである。


私の場合、新聞にチラシを折り込むと3000枚に1件の電話がかかってきていた。
つまり30万枚折り込むと100件の電話がかかってくるわけだ。

ここで、1枚あたり1.5円で印刷し、折込代は2.5円だとする。

チラシを1枚折り込むのに、1.5+2.5円=4円かかるので、
30万枚だと120万円のコストである。


ここで、チラシを見てかかってきた100件の電話に対して
100件の見積書を出すことになる。
成約率が7割だったから、70件の受注だ。
平均受注単価は50万円だったから、3500万円の売り上げということになる。


整理すると次のようになる。
120万円かけてチラシを30万枚まくと、3500万円の売り上げになるのだ。

逆に言うと、私は3500万円の売り上げを上げるためなら、120万円払っても
構わないということになる。


ここで、チラシの印刷単価を1.5円から1.4円にすることが出来たとしよう。

120万円の予算で何枚まけるか?

120万円÷3.9円=約307,700枚。

3000枚に1件の電話だから、電話の数は102件である。
受注率は7割だから、71.4件。
平均単価50万円だから、3570万円。

これを12カ月続けるわけだから、1年で840万円も売上が増加するのである。


年商4億2000万円の会社が、約850万円の年商アップをするのに、
チラシ1枚で、0.1円でそれが可能になるということだ。


チラシを活用したビジネスは、これぐらいに価格に敏感にならないと
すぐに経費倒れになってしまうということでもある。


そこで、私は「入札」をお勧めしたいと思う。
一般的に、1か月に10万枚も印刷している企業であれば、
地元の印刷会社から、どんどん提案してくれるのである。

電話帳を見て、印刷会者をリストアップして、入札のお願いを
しまくる。
それだけで、印刷コストは下げられるからだ。

私はこの方法で、2円だった印刷費を1.24円にまで落としたことがある。
その差がどれぐらいになるのか、シミュレーションして欲しいのである。

折込チラシを活用している企業にとってみれば、普通の話だったかも
知れないが、これからチャレンジしようと思っている会社があれば、
是非、頭の片隅にでも覚えておいて欲しいと思う。

株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou




※本連載コラムは今回で終了となります。
ご愛読ありがとうございました。(経営者会報ブログ事務局)

2009年12月01日(火)更新

これも販促ツール

いつもお世話になります。一條です。

今日は、販促ツールについてお話ししてみましょう。

といっても、普通の販促ツールではありません。
クレーム対策ツールが販促ツールになる話です。

では、早速いきましょう。


■美容液メーカーが受けたクレーム

今、女性向け美容液メーカーさんのお仕事をお手伝いしています。

美容液というのは面白いもので、有効成分の量を多くすればするほど、
それが肌に合わない人が出てきます。


「この美容液をつけたら、肌が赤くなった。」
今日も、このようなクレームが寄せられました。


■まさか自分が・・・

通常、このようなケースで大切なことは、まず購入される前に、
「まれに肌が赤くなる方がいる」という注意事項を見て頂くことです。


そうすれば、お客さんはその注意事項を見たうえで買うわけですから、
実際に肌に赤みが出たとしても、納得するはずだ。

と、思いたいのがメーカー側ですが、そうはいきません。


お客さんは、注意事項が書いてあろうが無かろうが、まさか自分が
そのような目にあうとは思っていないからです。

ですので、次に大切なことは、商品をお届する際に、
商品に注意書きを同梱することです。

そして、これが販促ツールになるのです。


■お客さんの「やるせない」気持ち

商品の注意書きが販促ツールになるって?


意外に思われるかもしれません。
そして、実際に、このことを意識している会社さんはほとんどない。

どういうことか、ご説明します。


通常の注意書きというのは、
・販売者(メーカー)が
・自分の責任を回避するために
用意するケースが多いです。

ですので、その内容は、美容液であれば、
・こういう症状が出る場合があります。
・症状が出たら、使用をやめてください。

という具合になっているのがほとんどです。


でも。

お客さんはこの注意書きで納得するでしょうか?
少し考えてみて頂きたいのです。


1回使って、肌に合わないことが分かった。

「肌に合わなかったら、使用をやめてください」

とも書いてある。


でも…。

自分が財布からお金を出して、購入した商品です。
ひょっとしたら購入までに、他の商品と何度も比較検討してから
買ったのかもしれません。

この商品なら、自分の悩みを解決してくれるのではと期待して
買ったのかもしれません。

それを、「肌に合わなかったら、使用をやめてください」のひと言で
片づけられてしまう。


もしも、次に何かを買おうと思ったときに、このメーカーの商品を
買おうとは思えなくなるはずなのです。


■メーカーに出来る【販促】の工夫

では、どうすればいいのか。

大きくはふたつあります。

ひとつめは、注意事項を相手のメリットから書き始めること。

ふたつめは、お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取る仕組みを作っておくこと。


==========
まずは、ひとつめのコツです。

コツ1.注意事項を相手のメリットから書き始める。
==========


注意事項を書くのであれば、相手のメリットから書き始めましょう。

例えば、肌に赤みが出るのは、有効成分の含有量が多いからです。
有効成分の含有量が多いのは、お肌によりよい効果を出すためです。

という商品なのであれば、相手(お客さん)のメリットは、
『お肌によりよい効果が出る』ことです。

ですので、ここから書き始める。

「お肌によりよい効果を感じて頂きたいので、有効成分の量を多くしています。
ただ、有効成分の量が多いので、人によってはまれに肌に赤みが出ることがあります。」


もしも相手のメリットが書いてなかったらどうなるでしょう?

「人によっては肌に赤みが出ることがあります」


どちらのメッセージの方が、お客さんは心安らかに読めるでしょう?

注意事項を書くのであれば、相手のメリットから書き始める。

これがひとつめのコツです。


■「やるせない気持ち」を汲み取る仕組み

さて、心安らかに読んでもらえるメッセージが出来た。
とはいえ、その商品は、そのお客さんの肌に合わないのですから、
もう使えないかも知れません。

だからといって、「お肌に合わない場合には、ご使用をおやめ下さい」では
お客さんは離れて行ってしまいます。

なぜなら、お客さんの中にある「やるせない気持ち」が放置されてしまうからです。

これからその商品を使えるにせよ、使えないにせよ、
お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取ってあげることは、
今後のためにとても大切。

ではどうすればいいか。

==========
ここで、ふたつめのコツです。

コツ2.お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取る仕組みを作っておくこと。
==========

例えば、このメーカーさんでは、
「お肌に合わない場合には、ご相談に乗らせて頂きますので、
フリーダイヤル0120-●●●-●●●にお電話ください。いつでも歓迎です。」
という案内をするようにしました。

電話をしたからといって、使えるようになるとは限りません。
でも、お客さんの「やるせない気持ち」は解消される。

メーカーさんはお客さんからの電話の中に、新商品のアイデアを
見つけることが出来るかも知れません。

何より、自社から離れて行ってしまうところだったお客さんとの
関係をつなぎとめることが出来る。


もちろん、この方法は、全国の小売店に大量に商品を卸している
メーカーさんには出来ないことかも知れません。
しかし、自社で直販をされているメーカーさんであれば、
どんな業種であってもマネができるノウハウでもあります。

そして、ライバルにも何をやっているのかもバレにくい。

このノウハウは、どんな業界にも応用できる内容です。
是非、アレンジして使ってみて頂くといいはずです。


マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年11月10日(火)更新

不況の歩き方 番外編1

マーケティング・トルネード佐藤です。

読売ISさんから統計資料が届いた。
読売ISさんは、新聞へのチラシ折り込み手配をしてくれる会社で、
全国的に有名な会社だ。

この統計資料は、読売ISさんという立場だからこそ
知り得る話が盛り込まれていて興味深い。
地域版は読めないようだが、首都圏データなら、インターネットでも見ることが出来るようだ。

http://www.yomiuri-is.co.jp/orikomidb/2009/9/


さて、東海地方においては、全体的な折込チラシの枚数は
2007年、8年、9年と、連続して減少し続けている。

とりわけ枚数が激減したのは、不動産だった。
不動産業界の不況の深刻さは、投資業界の人からも聞いていたが、
数字もそれを裏付けているようだ。

消費者金融や、生保、損保もチラシが減ったようだ。

一方で、医薬品・化粧品のチラシが多くなっている。
化粧品やトクホ系の通販チラシが勢いを増したのだろうと想像できる。

外食産業のチラシも増えている。
おそらくファーストフード系のチラシが増えたんだろうと思う。

大型ホームセンターのチラシも増加したようだ。

こうして、業界全体でチラシの配布枚数を増やしている場合、
総じて好調であることが多い。

不景気、不景気とマスメディアが騒いだ結果、
消費者の心理マインド的にも、巣ごもり消費が進んでいるが、
それらに関連した業界は、やっぱり少し好調になってるようだ。

学習塾については、地域格差が大きく出ているようだ。
一部のお受験熱が高い地域の学習塾は好調なようだが、
その他のエリアでは、総じて苦戦を強いられているはずである。


この統計資料を見ていて感じることは、
やはり、マスメディアが一般的に伝えている通りに、
鵜呑みにすることの危険さである。

どんな業界も、平均して不景気になっているわけではないのだ。
ぜひ、こうした統計資料を入手して、自分なりの戦略構築に
少しでもヒントをつかんでみてほしい。


次回は、私がチラシを活用していた頃の、印刷費の削減インパクトについて
少しお話ししたいと思う。


株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年10月28日(水)更新

見込み客を集める秘密道具

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティングトルネードの巽です。


見込み客を効率良く集めたいときに使えるツールに、
【オファー】と呼ばれるものがあります。

直訳すると『提案』ということになりますが、わたしたち
マーケティング屋の間では、「見込み客になってもらうための、
ちょっとしたギフト」といった意味合いで使うことが多いです。

・高額だと感じられる商品
・吟味する時間が必要な商品
・時期が来ないと需要が起きない商品
・自分の判断だけで買えない商品
・信頼関係の構築が欠かせない商品

などを扱っている場合、適切なオファーを準備できるかどうかで、
マーケティング上の効率がずいぶんと違ってくるものです。

たとえば、弊社がホームページで提供している商品は、
コンサルティングや講演、ビジネス教材といった無形物。
決して売りやすい商品ではありません。

たまたま見つけたホームページで、何の躊躇も無くコンサルティングを
申し込んでくれる確率は限りなくゼロに等しいからです。

そこでまずは、せっかく訪問してくれたユーザーとの信頼関係を築くために、
メールマガジンの読者になってほしいと考えます。

いったん見込み客として取り込んだユーザーに、定期的なメルマガ配信を
行いながらセールスを重ねていくことで、機会損失を最小限に抑えながら
追客を行う方が有利だと考えたからです。


しかし、いくら無料とはいえ、読者登録をするだけのメリットが
感じられなければ、メールアドレスを残してくれません。

そこで、訪問者に読者登録をしていただくための動機付けとして、
セールスの方法やレスポンスマーケティングの実例などを収録した
『業績アップのための無料レポート』や、教材のサンプルCDなどを
用意することになりました。

その結果、メルマガへの登録者数は増加し、より効率的な「売れる仕組み」を
手に入れることが出来ました。

実はこれらのオファーは、新たに作ったものではありません。
日常業務の中で何度も説明を求められるものや、コンサルティング中に
感心されたエピソードなどを、レポートとしてまとめたものに過ぎませんでした。
それにもかかわらず、毎年何千人もの見込み客を連れてきてくれるのです。


あなたの会社の中にも、集客効率を上げてくれるオファーがあるはずです。

無料で試してもらうのが良いのか、デモンストレーションを実演させて
もらうのがいいのか、無料で相談に応じてあげるのが良いのか、
シミュレーション結果を教えてあげるのが良いのか。

会社の規模や扱っている商品などによってさまざまだと思いますが、
まずはあなたの会社の中に埋もれてしまっている、「オファーとして
使えそうなもの」が無いかどうか、探してみてください。

株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年10月16日(金)更新

販促ツールのコツ:紙はバラケルこともある。

紙はバラケルこともある。

なんのこっちゃと思われたらすみません。
マーケティング・トルネードの一條です。

今日は少し、具体的な販促ツールについて、お話ししてみたいと思います。

といっても、対象はすごく狭い。
だから、直接お役に立てて頂ける方は多くはないかも知れません。

でも、とても大切なことなので、お話しします。
直接は関係なくても、この話をヒントにして頂ける人は多いはずです。


■『開封率100%!』の販促ツール

企業さんを相手にご商売をされている会社さんがあります。
いわゆるBtoBといわれる業態です。

ビジネスフォンを売ったり、オフィス用品を売ったり。
税理士さんなんかも、自分のサービスを法人相手に売っている
という意味ではBtoBの仲間ですね。


こういうBtoBの業態で頼りになる販促ツールに、FAXDMがあります。

企業さんであれば大体FAX機は持たれていますし、
FAX番号も入手しやすい。

1件当たりの送信料も、安い。

例えば郵送の案内であれば一番安いハガキを送ったとしても
1通55円かかりますが、FAXなら1通20円ぐらい。
安い代理店さんを見つければ、1通につき6円で送れることもあります。

しかも、そもそも封筒に入っていませんから、開封率は100%。

開封率100%の郵送DMなんて、世の中にはありません。
FAXDMはものすごく心強いツールになる。

だからでしょう。


『FAXDMで問い合わせを増やす!』

『FAXDMで注文を増やす!』

といったノウハウも、よく出回っています。


■こんなにポピュラーなのに・・・・

このコラムを読んでくださっている方の中にも、FAXDMを
使ったことのある方もいらっしゃると思います。

もしもそうであれば、ご自身のFAXDMを今、取りだして、見て頂きたいのです。

見て頂きたいのは、ページの下側です。

何を見るかというと、ページ番号です。


1ページ、2ページという番号が入っているか。


もしも1枚もののFAXDMであれば、関係ありませんが、
2枚以上のものであれば、ページ番号は入っているでしょうか?


このページ番号が入っていれば、合格。
入っていない場合には、今すぐ、入れて下さい。

なぜなら、ページ番号を入れるだけで、問い合わせを受けるチャンスが
増えるかも知れないからです。


■なぜページ番号なのか?

FAXDMというのは、読んで字のごとく、FAXで届くDMです。

つまり、お客さんの手元には、FAX機からプリントされた紙の形で届きます。
(最近ではまずデータでFAXの内容を確認してからプリントアウトするか
どうかを選ぶこともありますが、主流はいきなりプリントアウトですから)


繰り返しますが、FAXDMは、プリントアウトされた紙が、
お客さんに届くツールなのです。


ここで出てくるのが、紙の特性です。


複数枚の紙が重なると、何が起きるでしょうか?


複数枚の紙は、バラケルことがあるのです。
風に飛ばされてバラケルこともあるでしょうし、何かにあたって
バラケルこともあるでしょう。


そうするとどうなるか?

もしもページ番号が振ってなければ、どの順番で読めばいいのか、
分からなくなってしまいます。


順番が分からなくなったものを自分でパズルのように組み立て直して、
再度読んでくれるお客さんは、そんなに多くはありません。

その結果、せっかくFAXを送ったのに、読んでもらえなくなってしまう。
開封率100%の媒体だとしても、読んでもらえなければ意味がありません。


これはとてももったいないことだと思うのです。


■このツールはどんな形で届くのか?

もちろん、送り手からすれば、送るときにはきちんと順番を整えているわけです。

だからこそ、相手にも順番通りに届いていると思いがちです。

しかし、実際には紙がバラケルこともある。


どんな販促ツールを使う時でも同じですが、相手のもとに届いた時には、
どんな形で届くのか?


例えば名刺ひとつとっても同じです。
名前も社名も目立たない名刺になっていないか?

サイズは、相手の名刺整理ボックスの中にちゃんと入れてもらえるサイズなのか?


チラシだったら、どういう形で折り曲げられて新聞の間に挟まれるのか?

などなど。


相手のもとに届いた時には、どんな形で届くのか?

販促ツールを作るときには、ぜひ、想像してみて頂くといいと思います。


マーケティング・トルネード
一條仁志

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