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2009年11月17日(火)更新

家電芸人ショーに学ぶ、セールスの極意

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。

先日、とても興味深いニュースがありました。

家電芸人と呼ばれている芸人さんたちが、最新のデジタル家電を
テレビ番組で紹介したところ、ネット上で大きな反響があった商品と、
そうでなかった商品があったというものです。

同じように時間を割いて紹介をしたにもかかわらず、
なぜこのような違いをもたらすのか。

その理由について、大手購買支援サイト「価格.com」さんでは、
以下のような推論を展開されていました。


●単独で取り上げれば反響がある製品でも、複数のライバル製品と
 横並びの紹介にすると、あまり大きなインパクトが得られない。

●デジタルカメラのプラスアルファ機能など、視聴者にとって
 それほど目新しい情報でないものについては、多くの時間を割いても、
 さほど反響が得られない。

わたしはここに、もうひとつ付け加えたいものがあります。
それは、反響のあった製品紹介には、優れたセールステクニックが
使われていたことです。


番組をご覧になった方はご存じだと思いますが、
ネット上で大きな反響があったとされる商品のひとつが、
YAMAHA製の最新スピーカーシステム。

通常なら5台のスピーカーを必要とするサラウンド環境を、
たった1台のスピーカーで作り出すことができるハイテク音響システムです。

番組では、男前芸人のチュートリアルの徳井さんが紹介していた商品ですが、
その説明が実に見事だったのです。


「いい音で聴きたいのは誰でも思うことですが、
 問題はゴチャゴチャの配線と邪魔なスピーカーなんですよね」

「これ、凄いんですよ。スピーカーがたったの一個。」

「なのに、音を壁に反射させることで、後ろから音が聞こえてくるんですよ」

ありがちな問題にピンポイントでフォーカスし、たった1つのスピーカー
にもかかわらず自分の後ろから音が聞こえてくる驚きをシンプルに
紹介することで、サラウンド技術に興味のない層にさえ
「凄い! 欲しい!」と思わせることになりました。

そして、何よりも素晴らしかったのは、他の選択枝を与えなかったことです。

「重低音ならヤマハだけど、高音のヌケの良さはケンウッドがいいですよ」
「なるべく安く済ませたいなら、こういう構成もアリですけどね」
「最近はヘッドホンでもサラウンド環境を手に入れられますからね」

など、ほかの候補や手段も挙げていたなら、ここまで爆発的な影響力は
なかったと思います。

そういえば、ジャパネットさんは、
複数のラインナップから選べるような商品紹介を決してしませんよね。

実はこれ、ホームページでも同じなのです。

ネットマーケティングにある程度慣れ親しんでいる方なら、
「ホームページを作るなら、特化型のサイトにしましょう」
という考え方を知っている方も多いと思います。

見掛け上の専門店化が容易なネットの世界では、

・リフォーム総合ショップよりも水回り専門ショップ
・水回り専門ショップより浴室専門ショップ
・浴室専門ショップよりシャワー混合栓専門ショップ

と、テーマを絞った方が反応が良いとされています。


けれども、単に取扱ジャンルを絞り込んだだけで大きな反応が
得られるかというと、決してそうではありません。

せっかく単品販売を行っていても、無用なラインナップを並列表記
することで反応を落としてしまっているケースもよくあるのです。

野暮な提案や無駄な選択肢の提示は、ユーザーを迷わせることがあります。
あなたのサイトでも、複数の選択肢を提供することが、逆効果に
なっていないでしょうか?

株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年11月06日(金)更新

伝えなければ、伝わらない。

こんにちは。
マーケティング・トルネードの一條です。

高い技術を持っているのに、お客さんが集まらない。

今日は、こういう会社さんがお客さんを集めるための方法について
お話しします。


■品質は高いのに・・・・

今、とある老舗の織物屋さんにコンサルティングをしています。
織物の売上が落ちてきたため、ご依頼を頂いたんですね。


さて、この織物屋さん。
職業が織物屋さんですので、商品は『織物』です。

この『織物』は反物といわれる形で売られることもありますし、
そこからさらに加工されて、着物として売られることもある。

つまり、お客さんは反物や着物というモノを買っているといえます。


一方で、織物屋さんの世界は、『職人さんの技術』を売っている世界
でもあります。

ひと言で技術といっても様々です。
中には熟練の職人さんが手作業で取り組まないと出来ない技術も
ありますし、大量生産でロボットが対応できる技術もある。


しかし、技術というものは、目に見えません。

いくら技術が高いと言っても、技術の良さを口で説明するには
限度があります。

「着てもらえればわかります」
「触ってもらえばわかります」

ということは、裏を返せば、

「着てもらえなければわかってもらえない」
「触ってもらえなければわかってもらえない」

ということなのです。

これでは限られたお客さんにしか商品を買ってもらえない。

実は、この織物屋さんも職人さんの腕(技術)が評判でした。
なのにお客さんが集まらない。

このジレンマが悩みだったわけです。


■見えない価値を伝える方法

『目に見えない技術』をどう伝えればいいのか?


『目に見える形』にする以外にはありません。
しかし、技術を目に見える形にするのは難しい。


そこでお薦めなのが、第3者からの声なのです。

いわゆる「お客様の声」とは少し、違います。

自分の商品を買ってくれたお客さんからコメントをもらうのではなくて、
自分と同じような立場にいる、他の分野の人からコメントをもらうのです。

他の分野の人からというのがポイントです。

例えば、お煎餅屋さんは、街のケーキ屋さんからコメントをもらう。

街でおいしいと評判のケーキ屋さんが、「うちのおやつはあのお煎餅屋さんの
お煎餅です」と言うと、その品質の高さが伝わるからです。

同じように、健康ドリンクを扱っている健康食品会社さんであれば、
牛乳配達会社さんからコメントをもらう。

業種・業態が同じライバル会社さんでなければ、コメントももらいやすいです。

もしすでに今のお客さんの中に、自分とは業種・業態が違うけれど、
同じような特性を持つ商品やサービスを扱っている方がいらっしゃれば、
まずその方にコメントをもらってもいいかも知れません。

目に見えない価値を目に見えるようにするために、とてもお薦めの方法です。


■伝えなければ伝わらない。

さて、この織物屋さんはデザインに定評がありました。
そこで、ウェディングドレスのデザイナーさんに、コメントを
もらうことにしました。

「あの織物屋さんのデザインはとても素敵なので、いつもデザインの
アイデアを考える時に、インスピレーションのもとにしています」

このようなコメントをいくつか、お店に貼りだしています。

評判がよければ、チラシや、ひょっとするとホームページにも使えるかも
知れません。


目に見えないものを伝える努力をするだけで、より以上のものを
伝えることが出来る。

目に見えないものを売る商売というのは、意外にたくさんあるものです。

特に、品質に自信があるのに、なかなかお客さんが集まらないと
お悩みの場合には試してみるといいはずです。


マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年10月21日(水)更新

就活とビジネスは似ている!?

マーケティング・トルネード佐藤です。


興味深い新聞記事を紹介してもらいました。
それは、日本経済新聞の記事でした。

「就職活動で成功する学生の共通点」についての調査結果についてでした。

本命企業からうまく内定を取る学生は、
「対人志向」と「勉学志向」の両方に優れているという特徴があるというのです。

例えば、携帯電話の登録数も多くて、交友範囲も広い(対人志向)。
重ねて、大学の勉強にも熱心(勉学志向)だというのです。

内定が取れなかった学生は、その正反対だというのです。

整理してみると、次のようになるわけです。

1.対人志向(高い) & 勉学志向(高い)…本命企業内定
2.対人志向(高い) & 勉学志向(低い)…本命以外に内定
3.対人志向(低い) & 勉学志向(高い)…大学院や公務員試験、教員などへ
4.対人志向(低い) & 勉学志向(低い)…未内定・就職活動放棄

こう整理されると、なるほどと思いますが、
まぁ、言われてみれば当たり前のような結果です。


この記事をご紹介したのは、上記のことを伝えたかったからだけではありません。
実は、わたしはこの記事を読んだとき、あることに気づいたのです。

「これはビジネスも同じだ・・」と言う事です。

例えば、対人志向を営業志向に置き換え、
勉学志向を専門志向に置き換えたなら、そのまま企業に同じことが
当てはまるのでは無いだろうかということなのです。

例えば、専門志向が高くても、営業志向が低いというと、典型的なのが
製造業や伝統産業です。
技術力や専門性は極めて高くても、その良さを伝える「営業志向」が低いために、
世の中ではウケが悪い。まるで勉学志向が高くても対人志向が低い学生みたいです。


この新聞記事では、「勉学志向の学生こそ、能力があるのだから、
対人志向を伸ばしてほしい」という趣旨の事が書かれています。


企業も同じだと思ったのです。
良い仕事をする企業ほど、良い技術力を持っている企業ほど、
もっと世に広める努力をして欲しいと思います。


株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年07月08日(水)更新

コンサルティングの現場から

こんにちは。
今日のコラムでは、実際にあった相談事例をご紹介します。

この方は、成功するような広告宣伝を作りたいと思いながらも、
あることで悩まれていたようです。

その悩みが、次のような質問という形で届きました。

****************************【質問】****************************
いま、とても悩んでます。
私は従業員50名の会社を経営してます。
私は●●を、個人ユーザーや法人ユーザーに営業して施工する仕事です。

新聞広告などをやってみるものの、見込み客からの問い合わせがありません。

そこで、いろんなノウハウ本などを読み漁り、広告を作ろうとするのですが、
『客の不安を煽りたてるような方法でも良いのか?』と不安になります。

効果はあるのかも知れないのですが、何か嫌な感じがするのです。

佐藤先生のご意見を、よろしければお伺いできないでしょうか?
勝手なお願いでなんですが、お時間許せばアドバイス願います。

*******************【以下、ひとつの回答】************************

佐藤です。
これは、ずっと前にいただいたご質問でしたが、
非常に具体的なご質問だと思います。

こうした事で悩まれている人が、実際には多くいます。

そこで、私が自社で発行しているメルマガにも書いた内容なのですが、
ここでも加筆修正してお話ししたいと思います。


さて、まず、この質問者さんの「不安」は部分的に正しいのです。

…っていうのは理由があります。
ちょっと次のキャッチコピーを比較してみて下さい。

【1】「なぜか不幸が続く厄風水の住宅(10症例)」

【2】「なぜか幸せが続く住まいの風水間取り8つのポイント」

両方とも、ガイドブックや無料DVDのタイトルにすると資料請求があります。
家づくりに関心をもつお客さんを集めるためのガイドブックというわけです。


さて、どちらが反響が良さそうですか?

(※実際の実例をご紹介すると支障があるので、
  タイトルは修正してありますのでご了承を)

おそらく【1】のほうが、反応は良いと思われるはずです。
実際に、資料請求の数自体は、【1】のほうが多いのです。


ところが、セールスを始めた途端に、困った事になる事が多いのです。
【1】の広告には、ネガティブなお客さんばかりが集まるからなのです。

息子が働かない。
結婚しない娘と母親の仲が悪い。
家族に病人がいてオカルトな原因を信じ込んでいる。
そんなお客さんが多くて、営業マンがセールスをしていても、
精神的に疲れるのだそうです。


確かに【2】だと、【1】よりは反応件数は少ない。
でも、反対に、とても良いお客さんばかりが寄ってくるのです。



つまり、「どちらのタイプのお客さんを集めたいのか?」
実を言うと、それさえコントロールが出来てしまうっていう事でもあります。

しかも、売上高で比較すると、【1】よりも【2】のほうが良くなったりするのです。

一般的に、激しく感情を揺さぶろうとすると、【1】までは極端じゃないにしても
そうした傾向に走ってしまう人が多いと思います。



もしかしたら、この質問者さんは、本能的にそれを
危惧しているのかも知れません。
ただ、その危惧をちゃんと理論的に説明できないだけなのかも知れません。

インターネットという世界になると、特にそうです。
「類は友を呼ぶ」と言いますが、
「広告は、それに共鳴した客を呼ぶ」のです。

ぜひ、ちょっとだけでも参考にしてみて下さい。


あなたはどんなお客さんと一緒にいたいですか?

それを考えることは、とても大切だと思います。


以上




株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年07月01日(水)更新

テコ入れの優先順位

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


先日、ある歯医者さんから、歯のホワイトニング広告を作りたいという、
広告制作のお問い合わせを頂きました。


無痛治療の分野では人気らしく、患者さんからの評判も上々。
ただ、その人気ゆえに、予約が取りづらかったり、
待ち時間が長くなってしまうことがあるとのこと。

そのため、リピート対策は行っているものの、
流出していく患者さんも多いのだそうです。

そこで、院長先生が思いついたのが、
利益の大きいホワイトニング(歯を白くする審美治療)を
チラシ一発で売ること。


同じビル内にやってくる人にハブラシを無料配布しながら、
ホワイトニングのキャンペーンチラシを
一緒に渡そうと思い立ったのだそうです。


一方、当方にはどんな形で打診があったのかというと、
「歯ブラシと一緒に渡すキャンペーンチラシを作ってほしいのですが・・・」
こんな感じでした。


ただ、私たちをマーケッターと見込んでのご相談であることは、
こちらも百も承知です。効果が見込めるものなのかが分からない状態で
「はい。分かりました」と引き受けるわけにもいきません。


そこで、「分からないことはお客に聞け」という佐藤の言葉通り、
色々と現状について質問をさせていただいたのです。


すると、どうやら今回のキャンペーンは、うまくいかないような気がしました。
新規でいきなりホワイトニングをお願いしてきた患者さんが
今まで一人もいなかったからです。


「・・・やっぱりか・・・」と思い、もう少しヒアリングをしてみると、
ホワイトニングを受けられる患者さんは、決まったステップを
踏んで患者さんになられていることに気づいたのです。

治療が終わったばかりの患者さんに提案を行うと、
非常に高い確率でホワイトニングサービスに興味を持たれるのだといいます。


ということは、患者さんに一度でも診察台に乗っていただけさえすれば、
効率的にホワイトニングを受注することができるのではないか?

治療後のトークを院内で標準化するほうが、
全体の底上げに寄与できる可能性が高いのではないか?


結局、新規のホワイトニング客を捉まえることが得策ではないと思った私は、
失礼を承知で

「それなら、今回の集客アイデアはうまくいかないかも知れません。
 歯ブラシと一緒に案内をすべきは、ホワイトニングではなく、
 むしろ新規の歯科検診ではないでしょうか?
 (もちろん、治療直後というタイミングを創出するために)」



これには先方も非常に納得がいった様子で、
とりあえず今回のキャンペーンは見送ることになりました。


そんなわけで、今回のお仕事はなくなってしまったわけですが(苦笑)
せっかくのやる気に水を差してまで進言させていただいたことには、
理由があるのです。


集客の柱を複数つくる取組みは重要だと分かっています。
その実現には、さまざまなトライが必要なことも知っています。


だからこそ、クライアントさんには、
なるべく大失敗のないチャレンジをしてほしいと願っているのです。

業績アップのヒントは、毎日の企業活動の中ですでに示されていることが
多いものです。

「どうすれば儲かるのか?」ではなく、
「どうすればあの状況を再現できるのか?」

こんな観点から今の仕事を見直してみられるのも、
たまにはよいかも知れません。

なぜなら、マーケティングは科学なのですから。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

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