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定価よりも高く売れてしまう場所

投稿日時:2009/09/08(火) 14:59rss

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


定価1,000円の図書券を、1,030円で販売しているショップがあります。
しかも、相当の数を売っています。

なんでこんなことが可能なのか?
適切な場所と顧客を狙い撃つことで成功している事例として、
ひとつご紹介してみます。


ご存知の方も多いかと思いますが、楽天にはアフィリエイトという機能があります。
アフィリエイトとは、簡単にいえば「ご紹介システム」のこと。

Aさんが作成したアフィリエイトリンクを経由して商品が売れた場合、
紹介者であるAさんには、その販売金額に応じて成果報酬が発生します。

5,000円のゲームソフトをブログなどで紹介してBさんに売れた場合、
紹介者のAさんには、販売金額の1%である50円が報酬として手に入る
というわけですね。


ところが、楽天アフィリエイトの場合、その報酬が現金ではなく
「楽天ポイント」なのです。
楽天ポイントは楽天内のショップでしか使えないため、
何かを買うことでしかポイントを消化できません。


かといって、そんなにしょっちゅう液晶テレビなどの高額商品も
欲しくならないわけで、ポイントを持てあますほどの優秀な
楽天アフィリエイターたちは、自分で買った売れ筋商品をオークションで
転売するなりして換金作業を行っていたわけです。

その手間を考えれば、換金性に優れた図書券やギフト券を売ってくれる
金券ショップの存在は有り難いもの。

つまりこのショップは、楽天ポイントをもてあますアフィリエイターたちの
両替所のような役割を果たしていたのです。


しかも、このショップさん。
買物の合計金額が5,000円以上でなければ注文を受け付けないという制限付き。
それにもかかわらず、飛ぶように売れていくのは、
「誰に、何を、どこで」売るのかが、絶妙なバランスで成り立っている
面白い事例ですね。


弊社で提唱している思考モデルの中に、「マーケティングクローバー」という
考え方があります。

これは、『「誰に」「何を」「どんなやり方で」売るのかを考え、
もっとも適合するものから優先的に取りかかりましょう』という、
マーケティングをうまくやるためのコツを、弊社佐藤が図式化したものです。


「なぜあんな商売が成り立っているんだろう?」と不思議に思った時には、
必ずそこに何かしらの仕掛けがあります。

1.「誰に売っているのか」を考えてみること
2.「何を売っているのか」を考えてみること
3.「どのように売っているのか」を考えてみること


ある事象に出会ったとき、上記のような視点で見てみると、
マーケティングのトレーニングに役立つかもしれません。



さて、この話には続きがあります。

先日、楽天がある発表を行いました。
それは、2010年1月支払い分(2009年11月成果発生分)から、成果報酬で
3,000ポイントを超えた分は、オンライン電子マネー「楽天キャッシュ」での
支払いに対応するというもの。

つまり、楽天アフィリエイターは、手軽にポイントを換金できるようになるわけです。

「昨日有料だったものが、今日無料になる世界」

ビジネス上の突然死が起きるリスクが高いのも、ネットビジネスの怖さでもありますね。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

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