大きくする 標準 小さくする

このカテゴリー内の «前の記事へ 次の記事へ»


儲かる理由の「鮮度」

投稿日時:2009/02/27(金) 18:28rss

マーケティング・トルネードの佐藤昌弘です。

今の私は経営コンサルタントというのが仕事です。
しかし、コンサルタントになる以前は、自分で創業した
住宅リフォーム会社を経営していました。

泥臭い社長業を何年もやっていたからこそ、そのころの私は、
「コンサルタントに何がわかるもんか。口先だけのくせに。
 他人の世話焼いてねーで自分の心配してろ。ばかたりーが!」
と思っていたものです。

今は、私がそんな過去を持っているとは知らないクライアント顧客ばかり
ですから、逆にそう思われている立場かも知れません。
不思議な感じです。

しかし、第三者的な視点で、冷静に見ることが出来る良さもあるのです。
コンサルタントになって初めて気づけた事も多いのです。
今日はそんな話をしたいと思います。


さて、こういう仕事をしていますと、
世の中には、「うわっ、すげーなぁ。儲かってんなー」
と、びっくらこく企業に出会うことが、よくあります。

そういう会社は、確かに存在しています。

逆に、「どうしてこうも運が悪いのか・・・」と、
何か除霊でもしてもらったほうが良いのかもと、
冗談半分で思いたくなるほどツイてない会社もあります。

本当に確かに、そういう会社も存在してるのです。


コンサルタントになると、こうした貴重な活きた現場の
ケーススタディを数多く知ることができます。
数多くの事例に触れるからこそ、ある共通項に気づくこともあるのです。

では、儲かっている会社は、創業当初から激儲かりだったのか?
では、儲かっている会社は、未来もずっと激儲かりが続くのか?

私の過去の経験から言えば、NOだと思います。



江戸時代末期の「安政」と呼ばれた時代に創業されたという会社があります。
日本の元号で言えば、
「安政-万延-文久-辛酉-元治-甲子
     -慶応-明治-大正-昭和-平成」
となります。
おそろしく寿命の長い企業さんです。

長い歴史の間には、儲かっていた時期があります。
しかし今は、少々苦しんでらっしゃています。

長い歴史があれば安泰かというと、そうでもありません。
ご存知の通り、ウェッジウッドという老舗の陶磁器メーカーなどは、
事実上経営破たんしてしまいました。
長くやってれば良いというものでもないようです。


反対に、ずっと繁栄を続けている会社に共通しているのは
何かという視点で考えてみると、あることに気付きます。

具体的なクライアント顧客のケースは出せないので、
誰もが知っているケースでお話ししましょう。

あの、トヨタグループはどうでしょうか。
まぁ、今回の一件ではトヨタでさえ想像してなかった早さで
危機がやってきたようです。
しかし、もともとは自動織機という事業から、自動車部という
部署が出来て、それが別会社化してトヨタ自動車となっています。

織物を作る機械を作っていた会社から、自動車を作る会社が生まれたわけです。
おそらく近い未来には、ロボット産業へと発展を遂げようと準備を
しているのではないかなと個人的に想像しています。


同じようなケースを探せば数々あります。
DHCさんも、もともとはDaigaku Honyaku Centerという洋書の翻訳が本業でした。
そうです。あのサプリメントのDHCさんです。
今では健康食品から、エステ、スパ経営へ、さらには医薬品事業へ進出するなどの
広がりを見せていらっしゃいます。


つまり、私の考えでは、儲かる理由には「鮮度」があると思うのです。

儲かる理由の「鮮度」が落ちる前に、次の展開のための準備を始める。
織機の魅力が時代とともに薄くなっていく前に、自動車への準備を。
サプリメントの魅力が時代とともに薄くなっていく前に、医薬品への準備を。

この次への展開のための準備は、何年もかかるものもあれば、
明日からすぐに成果が現れるものもあります。


例えば、何世代も酒蔵を営んできた日本酒の酒造メーカーが、
お漬物を漬けるためのものとして販売していた「麹(こうじ)」を、
ある日、「お肌がピカピカになる生麹パック」として酒販店で売り始める。
これは、やる気になれば1週間で商品化できます。

こうした次への展開は、本当に即座に出来るものが多くあるのですが、
その着眼点を知らない会社が多いだけなのです。

もちろん、今の事業とは違う、新規事業へと参入するだけが
「鮮度」を維持する方法ではありません。
ある化粧品メーカーは、無添加化粧品から、ナノ技術を使った化粧品へと
その「鮮度」を変化させていきました。

別に、既存事業と分野の違う新規事業に参入したわけではありません。
化粧品事業をずっと継続させています。

キティちゃんも、ずっとキティちゃんですが、鮮度を保つように変化
をしていますよね。

「変化が大切」とは、頭では理解していましたが、
こうした「鮮度」の維持という別の言い方をしても、
理解が進むと思ったのです。

繁栄し続けている企業の中で、ずっと変化せずに済んでいる会社を
探すほうが、やはり難しいことをいまさらながらに気づいたのです。

特別なことを言っているわけではないことは、理解しています。
しかし、奇をてらわず、基本的なことも思い出していただく事も
大切だと思いました。

あなたの会社に対しての顧客からのニーズは、
果たして10年前とまったく同じでしょうか。
その「鮮度」の変化はゆっくりですが、確実に起きているはずです。
自社内をよく観察してみてください。

そこに大きなチャンスがあることが多いからです。



株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

<<  2024年5月  >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31