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売れば売るほど辛くなる? 繁盛店のパラドックス

投稿日時:2009/10/06(火) 15:46rss

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


先日、弊社がお世話になっている社労士の先生から、
訪問先の会社さんが運営しているネット販売サイトの相談を受けました。


女性用サニタリー用品の販売に特化したネットショップらしいのですが、
売上アップを目指してリニューアルを検討中だとのこと。

ただ、ネットショップのオーナーが集客や販売戦略に関する知識に乏しいため、
弊社のようなマーケティング屋の意見も聞いてみたいとのことで、
回りまわって当方にご質問くださったようでした。


さっそくサイトを覗いてみると、単価が数百円程度の商品ばかり。
おまけに、丈夫で長持ちという商品特性を持っていました。

一方、この商品に関する周辺キーワード単価は、すでに200~300円程度。
物販サイトのコンバージョン目標は、約1%程度とされていますので、
単純計算すると、3万円の広告費用をかけて数百円の利益が出る計算。
つまり、売れれば売れるほど赤字になっていくという悲惨な結果が待ち受けています。

もちろん、衝動買いも起こりえる商品単価ですから、
実際のコンバージョン率はもっと高くなるかもしれません。
しかし、着地先ページの構成が衝動買いを誘発させる「需要喚起型」では
なかったため、おそらく上記のような結果になるだろうと想像しました。


「このままでは難しい商売でしょうねぇ・・・」
今回の相談をお寄せくださった社労士の先生も、そう感じているようでした

でも、あきらめるには少し早いと思うのです。
なぜなら、「安く仕入れて高く売る」以外の解決策も、
探してみてほしいからです。

ネット販売の恐ろしい点は、表面上のマーケティング活動がまる見えだと
いうところ。ライバル店の「見掛け上の」仕掛けが即座に分かってしまう
PCネットの世界では、同じ商品を同じ方法で少しだけ安く売るライバルが
現れるだけで、すぐに商売が立ちいかなくなります。

商品を変更する。単価を高くする。仕入れ価格を下げる。広告費を圧縮する。
広告への反応率を上げる。人件費がかからないよう自動化する・・・。
通販サイトを運営していくには、どれも当たり前のように大切な取り組み
ですが、そうした努力だけでは追いつかないことが多いものです。

つまり、価格力だけに依存したマーケティングプランを組み立ててしまうと、
いくら有利な商品を扱っているつもりでも、どのみち消耗戦に陥ってしまうのです。


物販の平均コンバージョンレートは1%が平均。それならば、この
コンバージョンレートでも商売として成立しうるだけの仕組みを
考えてみてほしいのです。

販売商品と相性のいいオプション品を一緒に売る。
リピート性の高い高単価商品をまた買ってもらう。
オリジナル商品を開発して既存客にブランドスイッチを促す。

扱っている商品やサービス、環境、人材、リソースは会社によって
違いますから、100社あれば100通りの解決策があるはずです。


いかに早い段階で、「価格で勝負」だけの世界から抜け出すか。
それが、ネット販売業というゼロサムゲームで生き残っていくための
ポイントであることは、間違いないようです。

株式会社マーケティングトルネード
巽大平

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