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2010年01月06日(水)更新

不況の歩き方 番外編2

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


さて前回は、読売ISさんから送られてきた折込統計資料を
見ていて気がついたことをお話しした。
マスメディアが言う通りの不景気が、該当しない業界が、
こうした統計資料から見てとれるという話だった。


そこで、今回は、まったく話が変わるが、
新聞へのチラシ折り込みという方法で稼いでいた、
私の経験談をお話ししたいと思う。

それは、1枚のチラシを印刷するコストについてだ。

折込チラシのコストは、印刷代、折込代、この2つに大きく分かれる。

一般的には折込代は、ディスカウントが難しい。
コストダウンが難しいのである。

しかし、チラシの印刷コストは、努力次第で下げることが出来る。
それがきわめて重要なのである。


私の場合、新聞にチラシを折り込むと3000枚に1件の電話がかかってきていた。
つまり30万枚折り込むと100件の電話がかかってくるわけだ。

ここで、1枚あたり1.5円で印刷し、折込代は2.5円だとする。

チラシを1枚折り込むのに、1.5+2.5円=4円かかるので、
30万枚だと120万円のコストである。


ここで、チラシを見てかかってきた100件の電話に対して
100件の見積書を出すことになる。
成約率が7割だったから、70件の受注だ。
平均受注単価は50万円だったから、3500万円の売り上げということになる。


整理すると次のようになる。
120万円かけてチラシを30万枚まくと、3500万円の売り上げになるのだ。

逆に言うと、私は3500万円の売り上げを上げるためなら、120万円払っても
構わないということになる。


ここで、チラシの印刷単価を1.5円から1.4円にすることが出来たとしよう。

120万円の予算で何枚まけるか?

120万円÷3.9円=約307,700枚。

3000枚に1件の電話だから、電話の数は102件である。
受注率は7割だから、71.4件。
平均単価50万円だから、3570万円。

これを12カ月続けるわけだから、1年で840万円も売上が増加するのである。


年商4億2000万円の会社が、約850万円の年商アップをするのに、
チラシ1枚で、0.1円でそれが可能になるということだ。


チラシを活用したビジネスは、これぐらいに価格に敏感にならないと
すぐに経費倒れになってしまうということでもある。


そこで、私は「入札」をお勧めしたいと思う。
一般的に、1か月に10万枚も印刷している企業であれば、
地元の印刷会社から、どんどん提案してくれるのである。

電話帳を見て、印刷会者をリストアップして、入札のお願いを
しまくる。
それだけで、印刷コストは下げられるからだ。

私はこの方法で、2円だった印刷費を1.24円にまで落としたことがある。
その差がどれぐらいになるのか、シミュレーションして欲しいのである。

折込チラシを活用している企業にとってみれば、普通の話だったかも
知れないが、これからチャレンジしようと思っている会社があれば、
是非、頭の片隅にでも覚えておいて欲しいと思う。

株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou




※本連載コラムは今回で終了となります。
ご愛読ありがとうございました。(経営者会報ブログ事務局)

2009年12月01日(火)更新

これも販促ツール

いつもお世話になります。一條です。

今日は、販促ツールについてお話ししてみましょう。

といっても、普通の販促ツールではありません。
クレーム対策ツールが販促ツールになる話です。

では、早速いきましょう。


■美容液メーカーが受けたクレーム

今、女性向け美容液メーカーさんのお仕事をお手伝いしています。

美容液というのは面白いもので、有効成分の量を多くすればするほど、
それが肌に合わない人が出てきます。


「この美容液をつけたら、肌が赤くなった。」
今日も、このようなクレームが寄せられました。


■まさか自分が・・・

通常、このようなケースで大切なことは、まず購入される前に、
「まれに肌が赤くなる方がいる」という注意事項を見て頂くことです。


そうすれば、お客さんはその注意事項を見たうえで買うわけですから、
実際に肌に赤みが出たとしても、納得するはずだ。

と、思いたいのがメーカー側ですが、そうはいきません。


お客さんは、注意事項が書いてあろうが無かろうが、まさか自分が
そのような目にあうとは思っていないからです。

ですので、次に大切なことは、商品をお届する際に、
商品に注意書きを同梱することです。

そして、これが販促ツールになるのです。


■お客さんの「やるせない」気持ち

商品の注意書きが販促ツールになるって?


意外に思われるかもしれません。
そして、実際に、このことを意識している会社さんはほとんどない。

どういうことか、ご説明します。


通常の注意書きというのは、
・販売者(メーカー)が
・自分の責任を回避するために
用意するケースが多いです。

ですので、その内容は、美容液であれば、
・こういう症状が出る場合があります。
・症状が出たら、使用をやめてください。

という具合になっているのがほとんどです。


でも。

お客さんはこの注意書きで納得するでしょうか?
少し考えてみて頂きたいのです。


1回使って、肌に合わないことが分かった。

「肌に合わなかったら、使用をやめてください」

とも書いてある。


でも…。

自分が財布からお金を出して、購入した商品です。
ひょっとしたら購入までに、他の商品と何度も比較検討してから
買ったのかもしれません。

この商品なら、自分の悩みを解決してくれるのではと期待して
買ったのかもしれません。

それを、「肌に合わなかったら、使用をやめてください」のひと言で
片づけられてしまう。


もしも、次に何かを買おうと思ったときに、このメーカーの商品を
買おうとは思えなくなるはずなのです。


■メーカーに出来る【販促】の工夫

では、どうすればいいのか。

大きくはふたつあります。

ひとつめは、注意事項を相手のメリットから書き始めること。

ふたつめは、お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取る仕組みを作っておくこと。


==========
まずは、ひとつめのコツです。

コツ1.注意事項を相手のメリットから書き始める。
==========


注意事項を書くのであれば、相手のメリットから書き始めましょう。

例えば、肌に赤みが出るのは、有効成分の含有量が多いからです。
有効成分の含有量が多いのは、お肌によりよい効果を出すためです。

という商品なのであれば、相手(お客さん)のメリットは、
『お肌によりよい効果が出る』ことです。

ですので、ここから書き始める。

「お肌によりよい効果を感じて頂きたいので、有効成分の量を多くしています。
ただ、有効成分の量が多いので、人によってはまれに肌に赤みが出ることがあります。」


もしも相手のメリットが書いてなかったらどうなるでしょう?

「人によっては肌に赤みが出ることがあります」


どちらのメッセージの方が、お客さんは心安らかに読めるでしょう?

注意事項を書くのであれば、相手のメリットから書き始める。

これがひとつめのコツです。


■「やるせない気持ち」を汲み取る仕組み

さて、心安らかに読んでもらえるメッセージが出来た。
とはいえ、その商品は、そのお客さんの肌に合わないのですから、
もう使えないかも知れません。

だからといって、「お肌に合わない場合には、ご使用をおやめ下さい」では
お客さんは離れて行ってしまいます。

なぜなら、お客さんの中にある「やるせない気持ち」が放置されてしまうからです。

これからその商品を使えるにせよ、使えないにせよ、
お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取ってあげることは、
今後のためにとても大切。

ではどうすればいいか。

==========
ここで、ふたつめのコツです。

コツ2.お客さんの「やるせない気持ち」を汲み取る仕組みを作っておくこと。
==========

例えば、このメーカーさんでは、
「お肌に合わない場合には、ご相談に乗らせて頂きますので、
フリーダイヤル0120-●●●-●●●にお電話ください。いつでも歓迎です。」
という案内をするようにしました。

電話をしたからといって、使えるようになるとは限りません。
でも、お客さんの「やるせない気持ち」は解消される。

メーカーさんはお客さんからの電話の中に、新商品のアイデアを
見つけることが出来るかも知れません。

何より、自社から離れて行ってしまうところだったお客さんとの
関係をつなぎとめることが出来る。


もちろん、この方法は、全国の小売店に大量に商品を卸している
メーカーさんには出来ないことかも知れません。
しかし、自社で直販をされているメーカーさんであれば、
どんな業種であってもマネができるノウハウでもあります。

そして、ライバルにも何をやっているのかもバレにくい。

このノウハウは、どんな業界にも応用できる内容です。
是非、アレンジして使ってみて頂くといいはずです。


マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年11月10日(火)更新

不況の歩き方 番外編1

マーケティング・トルネード佐藤です。

読売ISさんから統計資料が届いた。
読売ISさんは、新聞へのチラシ折り込み手配をしてくれる会社で、
全国的に有名な会社だ。

この統計資料は、読売ISさんという立場だからこそ
知り得る話が盛り込まれていて興味深い。
地域版は読めないようだが、首都圏データなら、インターネットでも見ることが出来るようだ。

http://www.yomiuri-is.co.jp/orikomidb/2009/9/


さて、東海地方においては、全体的な折込チラシの枚数は
2007年、8年、9年と、連続して減少し続けている。

とりわけ枚数が激減したのは、不動産だった。
不動産業界の不況の深刻さは、投資業界の人からも聞いていたが、
数字もそれを裏付けているようだ。

消費者金融や、生保、損保もチラシが減ったようだ。

一方で、医薬品・化粧品のチラシが多くなっている。
化粧品やトクホ系の通販チラシが勢いを増したのだろうと想像できる。

外食産業のチラシも増えている。
おそらくファーストフード系のチラシが増えたんだろうと思う。

大型ホームセンターのチラシも増加したようだ。

こうして、業界全体でチラシの配布枚数を増やしている場合、
総じて好調であることが多い。

不景気、不景気とマスメディアが騒いだ結果、
消費者の心理マインド的にも、巣ごもり消費が進んでいるが、
それらに関連した業界は、やっぱり少し好調になってるようだ。

学習塾については、地域格差が大きく出ているようだ。
一部のお受験熱が高い地域の学習塾は好調なようだが、
その他のエリアでは、総じて苦戦を強いられているはずである。


この統計資料を見ていて感じることは、
やはり、マスメディアが一般的に伝えている通りに、
鵜呑みにすることの危険さである。

どんな業界も、平均して不景気になっているわけではないのだ。
ぜひ、こうした統計資料を入手して、自分なりの戦略構築に
少しでもヒントをつかんでみてほしい。


次回は、私がチラシを活用していた頃の、印刷費の削減インパクトについて
少しお話ししたいと思う。


株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年10月28日(水)更新

見込み客を集める秘密道具

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティングトルネードの巽です。


見込み客を効率良く集めたいときに使えるツールに、
【オファー】と呼ばれるものがあります。

直訳すると『提案』ということになりますが、わたしたち
マーケティング屋の間では、「見込み客になってもらうための、
ちょっとしたギフト」といった意味合いで使うことが多いです。

・高額だと感じられる商品
・吟味する時間が必要な商品
・時期が来ないと需要が起きない商品
・自分の判断だけで買えない商品
・信頼関係の構築が欠かせない商品

などを扱っている場合、適切なオファーを準備できるかどうかで、
マーケティング上の効率がずいぶんと違ってくるものです。

たとえば、弊社がホームページで提供している商品は、
コンサルティングや講演、ビジネス教材といった無形物。
決して売りやすい商品ではありません。

たまたま見つけたホームページで、何の躊躇も無くコンサルティングを
申し込んでくれる確率は限りなくゼロに等しいからです。

そこでまずは、せっかく訪問してくれたユーザーとの信頼関係を築くために、
メールマガジンの読者になってほしいと考えます。

いったん見込み客として取り込んだユーザーに、定期的なメルマガ配信を
行いながらセールスを重ねていくことで、機会損失を最小限に抑えながら
追客を行う方が有利だと考えたからです。


しかし、いくら無料とはいえ、読者登録をするだけのメリットが
感じられなければ、メールアドレスを残してくれません。

そこで、訪問者に読者登録をしていただくための動機付けとして、
セールスの方法やレスポンスマーケティングの実例などを収録した
『業績アップのための無料レポート』や、教材のサンプルCDなどを
用意することになりました。

その結果、メルマガへの登録者数は増加し、より効率的な「売れる仕組み」を
手に入れることが出来ました。

実はこれらのオファーは、新たに作ったものではありません。
日常業務の中で何度も説明を求められるものや、コンサルティング中に
感心されたエピソードなどを、レポートとしてまとめたものに過ぎませんでした。
それにもかかわらず、毎年何千人もの見込み客を連れてきてくれるのです。


あなたの会社の中にも、集客効率を上げてくれるオファーがあるはずです。

無料で試してもらうのが良いのか、デモンストレーションを実演させて
もらうのがいいのか、無料で相談に応じてあげるのが良いのか、
シミュレーション結果を教えてあげるのが良いのか。

会社の規模や扱っている商品などによってさまざまだと思いますが、
まずはあなたの会社の中に埋もれてしまっている、「オファーとして
使えそうなもの」が無いかどうか、探してみてください。

株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年10月16日(金)更新

販促ツールのコツ:紙はバラケルこともある。

紙はバラケルこともある。

なんのこっちゃと思われたらすみません。
マーケティング・トルネードの一條です。

今日は少し、具体的な販促ツールについて、お話ししてみたいと思います。

といっても、対象はすごく狭い。
だから、直接お役に立てて頂ける方は多くはないかも知れません。

でも、とても大切なことなので、お話しします。
直接は関係なくても、この話をヒントにして頂ける人は多いはずです。


■『開封率100%!』の販促ツール

企業さんを相手にご商売をされている会社さんがあります。
いわゆるBtoBといわれる業態です。

ビジネスフォンを売ったり、オフィス用品を売ったり。
税理士さんなんかも、自分のサービスを法人相手に売っている
という意味ではBtoBの仲間ですね。


こういうBtoBの業態で頼りになる販促ツールに、FAXDMがあります。

企業さんであれば大体FAX機は持たれていますし、
FAX番号も入手しやすい。

1件当たりの送信料も、安い。

例えば郵送の案内であれば一番安いハガキを送ったとしても
1通55円かかりますが、FAXなら1通20円ぐらい。
安い代理店さんを見つければ、1通につき6円で送れることもあります。

しかも、そもそも封筒に入っていませんから、開封率は100%。

開封率100%の郵送DMなんて、世の中にはありません。
FAXDMはものすごく心強いツールになる。

だからでしょう。


『FAXDMで問い合わせを増やす!』

『FAXDMで注文を増やす!』

といったノウハウも、よく出回っています。


■こんなにポピュラーなのに・・・・

このコラムを読んでくださっている方の中にも、FAXDMを
使ったことのある方もいらっしゃると思います。

もしもそうであれば、ご自身のFAXDMを今、取りだして、見て頂きたいのです。

見て頂きたいのは、ページの下側です。

何を見るかというと、ページ番号です。


1ページ、2ページという番号が入っているか。


もしも1枚もののFAXDMであれば、関係ありませんが、
2枚以上のものであれば、ページ番号は入っているでしょうか?


このページ番号が入っていれば、合格。
入っていない場合には、今すぐ、入れて下さい。

なぜなら、ページ番号を入れるだけで、問い合わせを受けるチャンスが
増えるかも知れないからです。


■なぜページ番号なのか?

FAXDMというのは、読んで字のごとく、FAXで届くDMです。

つまり、お客さんの手元には、FAX機からプリントされた紙の形で届きます。
(最近ではまずデータでFAXの内容を確認してからプリントアウトするか
どうかを選ぶこともありますが、主流はいきなりプリントアウトですから)


繰り返しますが、FAXDMは、プリントアウトされた紙が、
お客さんに届くツールなのです。


ここで出てくるのが、紙の特性です。


複数枚の紙が重なると、何が起きるでしょうか?


複数枚の紙は、バラケルことがあるのです。
風に飛ばされてバラケルこともあるでしょうし、何かにあたって
バラケルこともあるでしょう。


そうするとどうなるか?

もしもページ番号が振ってなければ、どの順番で読めばいいのか、
分からなくなってしまいます。


順番が分からなくなったものを自分でパズルのように組み立て直して、
再度読んでくれるお客さんは、そんなに多くはありません。

その結果、せっかくFAXを送ったのに、読んでもらえなくなってしまう。
開封率100%の媒体だとしても、読んでもらえなければ意味がありません。


これはとてももったいないことだと思うのです。


■このツールはどんな形で届くのか?

もちろん、送り手からすれば、送るときにはきちんと順番を整えているわけです。

だからこそ、相手にも順番通りに届いていると思いがちです。

しかし、実際には紙がバラケルこともある。


どんな販促ツールを使う時でも同じですが、相手のもとに届いた時には、
どんな形で届くのか?


例えば名刺ひとつとっても同じです。
名前も社名も目立たない名刺になっていないか?

サイズは、相手の名刺整理ボックスの中にちゃんと入れてもらえるサイズなのか?


チラシだったら、どういう形で折り曲げられて新聞の間に挟まれるのか?

などなど。


相手のもとに届いた時には、どんな形で届くのか?

販促ツールを作るときには、ぜひ、想像してみて頂くといいと思います。


マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年10月06日(火)更新

売れば売るほど辛くなる? 繁盛店のパラドックス

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


先日、弊社がお世話になっている社労士の先生から、
訪問先の会社さんが運営しているネット販売サイトの相談を受けました。


女性用サニタリー用品の販売に特化したネットショップらしいのですが、
売上アップを目指してリニューアルを検討中だとのこと。

ただ、ネットショップのオーナーが集客や販売戦略に関する知識に乏しいため、
弊社のようなマーケティング屋の意見も聞いてみたいとのことで、
回りまわって当方にご質問くださったようでした。


さっそくサイトを覗いてみると、単価が数百円程度の商品ばかり。
おまけに、丈夫で長持ちという商品特性を持っていました。

一方、この商品に関する周辺キーワード単価は、すでに200~300円程度。
物販サイトのコンバージョン目標は、約1%程度とされていますので、
単純計算すると、3万円の広告費用をかけて数百円の利益が出る計算。
つまり、売れれば売れるほど赤字になっていくという悲惨な結果が待ち受けています。

もちろん、衝動買いも起こりえる商品単価ですから、
実際のコンバージョン率はもっと高くなるかもしれません。
しかし、着地先ページの構成が衝動買いを誘発させる「需要喚起型」では
なかったため、おそらく上記のような結果になるだろうと想像しました。


「このままでは難しい商売でしょうねぇ・・・」
今回の相談をお寄せくださった社労士の先生も、そう感じているようでした

でも、あきらめるには少し早いと思うのです。
なぜなら、「安く仕入れて高く売る」以外の解決策も、
探してみてほしいからです。

ネット販売の恐ろしい点は、表面上のマーケティング活動がまる見えだと
いうところ。ライバル店の「見掛け上の」仕掛けが即座に分かってしまう
PCネットの世界では、同じ商品を同じ方法で少しだけ安く売るライバルが
現れるだけで、すぐに商売が立ちいかなくなります。

商品を変更する。単価を高くする。仕入れ価格を下げる。広告費を圧縮する。
広告への反応率を上げる。人件費がかからないよう自動化する・・・。
通販サイトを運営していくには、どれも当たり前のように大切な取り組み
ですが、そうした努力だけでは追いつかないことが多いものです。

つまり、価格力だけに依存したマーケティングプランを組み立ててしまうと、
いくら有利な商品を扱っているつもりでも、どのみち消耗戦に陥ってしまうのです。


物販の平均コンバージョンレートは1%が平均。それならば、この
コンバージョンレートでも商売として成立しうるだけの仕組みを
考えてみてほしいのです。

販売商品と相性のいいオプション品を一緒に売る。
リピート性の高い高単価商品をまた買ってもらう。
オリジナル商品を開発して既存客にブランドスイッチを促す。

扱っている商品やサービス、環境、人材、リソースは会社によって
違いますから、100社あれば100通りの解決策があるはずです。


いかに早い段階で、「価格で勝負」だけの世界から抜け出すか。
それが、ネット販売業というゼロサムゲームで生き残っていくための
ポイントであることは、間違いないようです。

株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年09月18日(金)更新

タダで出来る営業力強化

営業部が個人事業主のあつまりのようになっている。

このようなご相談を受けることが続いています。

もちろん、それぞれの営業マンが成果を出し、営業部門全体の成果も
出ている時にはこのスタイルでもいいと思うのです。

一方で、世の中全体の流れが滞り、営業マンが成果を出しにくい状況に
なっている時には、このスタイルには問題がある。

今日は、【組織の力】を最大限に活かす営業チームを作る方法をお伝えします。
それでは早速始めましょう。

※今回のコラムでは、便宜上、『組織』という言葉を使っています。
 なんだか、硬い言葉でもありますので、ご自身の状況にあわせて、チームや
 部門などに読み替えて読んで頂ければうれしいです。


■とある営業組織の悩み

今、とあるフランチャイズチェーンさんに営業の研修をご提供しています。
この中で、本部の方からご相談を受けました。

本部の営業チームが個人事業主のあつまりのようになってしまったというのです。


本部の営業マンは、フランチャイズの加盟店さんのサポートが仕事です。

加盟店さんには、イケイケ営業の会社もあれば、比較的おとなしめの
会社もありますし、その地域もバラバラ。本部の営業マンは本部の
事務所にいる時間もほとんどない。

このような状況の中で、本部の営業チームが個人事業主のあつまりのように
なってしまったというのです。当然、社内での情報共有も、ノウハウの共有も
出来ていない。

このコラムを読んでくださっている方の中には、同じような状況を
抱えている会社さんもいらっしゃるかも知れません。


これは実にもったいない話です。

なぜなら、複数の営業マンが所属する営業チームには、個人事業主さんの
元に集まってくる何倍もの情報が集まってくるからです

チーム内で情報やノウハウの共有が出来れば、ライバルよりも一歩も
二歩も先に行くことが出来る。

では、どうやって営業マン同士の情報やノウハウを共有すればいいのか。
そのコツは、営業マン同士が使える『共通の言葉』をつくることです。

初めて聞く方もいらっしゃると思うので、少し説明させて下さい。


■共通の言葉とは?

『共通の言葉』というとなんだかむずかしそうです。
簡単に言うとこれは、お互いが、同じ意味で理解できる言葉のことです。

例えば、「法人税」という言葉があります。
しかし、社長と経理担当者とではこの言葉に対する理解の仕方が違います。

一方で、同じ規模の会社を経営している社長さん同士であれば、
比較的同じような理解が出来るかも知れません。

これが『共通の言葉』です。
大切なことは、その言葉自体の意味ではなく、話をしている相手が
その言葉について同じ理解を持てていること。

なぜなら、相手の言葉が理解できなければ、相手のことを理解する
気もなくなりますが、同じ言葉で話すようになると、「意外と
同じようなことで悩んでるんだな」とか、「ああ、そういうことが
言いたかったのか」とか分かることも増えてくるからです。

そうなると、お互いに助け合ったり、情報を提供し合ったりも出来るようになる。

『共通の言葉』を作る方法はいろいろです。

例えば、『チャレンジ』という会社方針を持っている会社であれば、
営業マン全員を集めた上で、「『チャレンジ』という言葉を別の言葉で
言うとどうなる?」という質問をしてみてもいいかも知れません。

その答えを聞くだけでも、「あ、アイツはこういう捉え方をしていたんだ」とか
「あの捉え方はいいな」とか、いろいろとお互いに気がつくことは出るはずです。

ただ単に社長が朝礼で「ウチの会社の方針は『チャレンジ』だ。みんな、
チャレンジするように!」と言っただけでは伝わらないことも、
こういう取り組みをすれば、チームのメンバー全員で共有できるようになる。

『共通の言葉』の出来上がりです。

より具体的に営業上の課題を通して、『共通の言葉』を作ることも出来ます。

その際には、弊社の代表佐藤が書いた『凡人が最強チームに変わる魔法の
営業ミーティング』
(日本実業出版社刊)も参考にして頂けるかも知れません。

どんな方法を使ってでもいいから、営業チームの中に『共通の言葉』を作っていく。
しかも、この取り組みをするのにコストはかかりません。
タダ、無料、ノーチャージです。

でも、ボディーブローのようにジワジワ効果が出てくる。

営業組織が個人事業主のあつまりのようになってしまったという
会社さんにはお薦めしたい取り組みです。


■最後に

さて、ここまで、組織の力を活かすためには何を大事にすればいいのか、
私に分かる範囲のことをお伝えしてきました。

私自身も個人事業主になった経験があるからこそ言いますが、
個人事業主から見れば、組織で仕事が出来るメリットというのは、
本当に大きいものです。

そして、不況と言われる今だからこそ、組織の強みが活きる。

このコラムが何らかの形で、御社のお役に立てれば、
こんなにうれしいことはありません。
ではまた次回、この場所でお会いできることを楽しみにしています。



マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年09月08日(火)更新

定価よりも高く売れてしまう場所

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


定価1,000円の図書券を、1,030円で販売しているショップがあります。
しかも、相当の数を売っています。

なんでこんなことが可能なのか?
適切な場所と顧客を狙い撃つことで成功している事例として、
ひとつご紹介してみます。


ご存知の方も多いかと思いますが、楽天にはアフィリエイトという機能があります。
アフィリエイトとは、簡単にいえば「ご紹介システム」のこと。

Aさんが作成したアフィリエイトリンクを経由して商品が売れた場合、
紹介者であるAさんには、その販売金額に応じて成果報酬が発生します。

5,000円のゲームソフトをブログなどで紹介してBさんに売れた場合、
紹介者のAさんには、販売金額の1%である50円が報酬として手に入る
というわけですね。


ところが、楽天アフィリエイトの場合、その報酬が現金ではなく
「楽天ポイント」なのです。
楽天ポイントは楽天内のショップでしか使えないため、
何かを買うことでしかポイントを消化できません。


かといって、そんなにしょっちゅう液晶テレビなどの高額商品も
欲しくならないわけで、ポイントを持てあますほどの優秀な
楽天アフィリエイターたちは、自分で買った売れ筋商品をオークションで
転売するなりして換金作業を行っていたわけです。

その手間を考えれば、換金性に優れた図書券やギフト券を売ってくれる
金券ショップの存在は有り難いもの。

つまりこのショップは、楽天ポイントをもてあますアフィリエイターたちの
両替所のような役割を果たしていたのです。


しかも、このショップさん。
買物の合計金額が5,000円以上でなければ注文を受け付けないという制限付き。
それにもかかわらず、飛ぶように売れていくのは、
「誰に、何を、どこで」売るのかが、絶妙なバランスで成り立っている
面白い事例ですね。


弊社で提唱している思考モデルの中に、「マーケティングクローバー」という
考え方があります。

これは、『「誰に」「何を」「どんなやり方で」売るのかを考え、
もっとも適合するものから優先的に取りかかりましょう』という、
マーケティングをうまくやるためのコツを、弊社佐藤が図式化したものです。


「なぜあんな商売が成り立っているんだろう?」と不思議に思った時には、
必ずそこに何かしらの仕掛けがあります。

1.「誰に売っているのか」を考えてみること
2.「何を売っているのか」を考えてみること
3.「どのように売っているのか」を考えてみること


ある事象に出会ったとき、上記のような視点で見てみると、
マーケティングのトレーニングに役立つかもしれません。



さて、この話には続きがあります。

先日、楽天がある発表を行いました。
それは、2010年1月支払い分(2009年11月成果発生分)から、成果報酬で
3,000ポイントを超えた分は、オンライン電子マネー「楽天キャッシュ」での
支払いに対応するというもの。

つまり、楽天アフィリエイターは、手軽にポイントを換金できるようになるわけです。

「昨日有料だったものが、今日無料になる世界」

ビジネス上の突然死が起きるリスクが高いのも、ネットビジネスの怖さでもありますね。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年09月01日(火)更新

小手先のテクニックに頼らない集客法とは

マーケティング・トルネード佐藤です。

ギフトショップの社長が、業績が悪化してきて、経営が苦しいと
嘆いていました。

彼は「どうやったら来店客数が増やせるのか」と、その方法を
知りたがっていたわけです。

今日は、この相談をキッカケにして、私がどんなアドバイスをしたのか?
それを簡略化して、お伝えしましょう。




ギフトショップにとって、集客をする方法は、いくつもある。

マスコミに取材してもらえる方法、
効果的な看板設置の方法、
新聞折り込みチラシの方法
既存客へダイレクトメールを送ってバックエンド品を売る方法
相乗りマーケティングという方法
業務提携先をご紹介するという方法
新商品の開発をするという方法
タレントさんに破格でお手伝い頂く方法

労力と予算と知恵によって、いくらでも方法はある。

私にとっては、毎日のようにそればかりアドバイスしているわけだから、
それほど難しいことでもない。
誰だって毎日やってれば、それなりに知識や経験や知恵もついてくるからだ。


しかし、それだけではいずれ限界が来るというのもわかっている。
だからこそ、伝えたかったことがあった。

それは、
「いつの日か、ギフトショップとして本質的に問われる時期が来る」
ということだ。

ギフトショップにとって、本質的な問いとは何だろうか?

それは「ギフト」というものへの深堀りである。

そもそもギフトとは何だろうか?
喜んでもらうためには何を贈れば良いのか?
感謝の意をギフトという贈り物で伝えるためにはどうすれば良いのか?
想いを伝えるためにはどうしたらいいのか?

そこで私はギフトショップオーナーに質問をしてみた。

「そもそも、ギフトの歴史って何ですか?」
「ギフトって、何のためにやってるんですか?」
「『気の利いたギフトってないの?』と質問されたとき、どうしていますか?
 まさかタオルでお茶を濁そうとかしていませんか?」

ギフトの歴史・・・そんなもの、考えたことも無かった、という答えだった。

「それじゃいかんと思いますよ。これからの時代、特に、
 ギフトとは、贈答とは、そうした本質的なところから、
 しっかりと掘り下げて研究しておくことが大事になって
 くると思います。それでこそプロだし、頼りにされるの
 だと思うからです。単なるギフト品の小売店だけだと、
 いずれ限界が来るような気がしています」

随分と生意気なことも言ったということは自覚している。
しかも、これはあくまでも私見でしかない。

しかし、ギフトという世界に、がっつり挑んでいるかどうかという
根本的な姿勢は、これからの時代に、必ず報われるような気がするのだ。

ギフト、贈り物の起源というものは何だろうか?
なぜ、人は贈答をするんだろうか?
贈答という行為に何を求めているのだろうか?

そのヒントを手にするためには、ギフトショップとして、
何を学べば良いのだろうか?
文化人類学? 社会心理学?
難しそうだけど、それが仕事に役立つのなら、ギフトの専門家になるために
役立つのなら、そこに、がっつり挑もう・・・という姿勢が大事になると思うのだ。

それを研究するために、果たして何か月必要だろうか。
夜な夜な情報収集や研究に時間を費やして、何年かかるだろうか。

ギフトに関連する本をアマゾンで全部買ったとして何冊になるんだろうか?


「小手先のテクニックでも集客は出来ますし、そのアドバイスはします。
 だけども、そうした研究や専門性を高めるという努力をしてくれたら、
 足腰が強い頼れるギフトショップになるし、場合によっては、
 新商品の開発や監修、そうした新分野へ道を切り開いてくれるきっかけに
 なるかも知れないですよ」

私は小手先のテクニックをアドバイスした上で、彼にそう伝えた。

しかしながら、これはギフトショップのオーナーに限った話ではない。
あらゆるビジネスが、こうした本質的なことを問われるように
なりつつある。

少々、説教臭い話かも知れないが、こんな話に何か感ずることがあれば幸いである。



株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年08月04日(火)更新

イヤなお客さんと付き合わなくてもすむ方法

いつもありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。

今回も、クライアントさんからご相談頂いた
事例を紹介してみたいと思います。


石川県で、浴槽の再生事業を専門にされている、
バスメイクの津田さんというクライアントがいます。

浴槽の再生事業とは、早い話がお風呂周りの修理屋さん。
でも、普通の修理屋さんとは、ちょっと違うんです。

旅館やホテル、賃貸物件など、何十年間も利用されて老朽化した浴室や、
すでに修理の施しようがないほどに損傷してしまった浴槽本体を、
特殊な再生技術を使って、まるで新品と見間違えるような
補修作業してしまうエキスパートなのです。


老朽化した構造物の浴室は、その形状や材質、場所によって
リフォームではどうにもならないような物件もあります。

しかし、バスメイクさんの手にかかれば、
浴室全体のリフォームをするよりも格段に安い価格で補修ができるうえ、
「他社でサジを投げられた案件」でも何とかしてもらえるという、
いわばお風呂周りの「匠」といっても過言ではない存在です。


ところがこの津田さん、
施工実績で県内ナンバー1の実績を誇るエキスパートであり、
その技術力も施工数も申し分ないのですが、そこはやはり職人さん。


「素晴らしい商品を持っている人に限って売るのが下手」という法則にもれず、
思うように集客ができずにいました。


そんな津田さんの目下の課題は、法人客探しでした。
つまり、ビジネスパートナー探しです。


けれども津田さんには、どうしても譲れない部分がありました。
それは、「下請けなんだから、元請けの言うことは何でも聞け」
というような業者とは付き合いたくないということでした。


そこでまず津田さんは、

・無理な工期には応じられません。
・下請なんだから何でも言うことを聞け、という方とは仕事しません。
・法外な値引き要求には応えられません。

こうした断りを、自社の案内にしっかりと明示することにしたのです。
つまり、イヤなお客さんとは付き合わないことを宣言したのです。


そんな津田さんのもとに、大きなチャンスが舞い込みます。
この契約が無事にまとまれば、今後の仕事がかなり安定するとのこと。
どうしてもモノにしたいということで、ご相談をお寄せいただいたのです。


おおまかな交渉のコツは別にアドバイスをさせていただいたものの、
津田さんが特に心配されていたことは、
「あんなことを書いたら、高圧的な態度だと取られかねないのではないか?」
「意図せず、横柄なヤツだと思われてしまうのではないか」
というものでした。

「あんなこと」とは、前述の自社の案内に掲載した「宣言」です。


たしかに津田さんは根っからの職人さん。
メールの文面は簡素だし、話し方もちょっとぶっきらぼう。
津田さんのことを良く知らない人からすると、
ちょっと気難しそうなイメージを持たれているかもしれませんでした。

そこにあの宣言です。
相手方に、あらぬ誤解を生んでしまう懸念はありました。


しかし、津田さんの思いも承知していた私は、
ほんの少しだけ書き加えていただくことにしました。
たとえば、こんな風です。

・主張=無理な工期には応じられません。

・理由=なぜなら、無理な工期を約束してしまったがゆえに、
    工事のクオリティを落とすことは本意ではないからです。
    また、それでお客様に喜んでいただけない結果になってしまったら、
    あたなにとっても私にとってもお客さまにとっても不幸だからです。

・エピソード=事実、こういうことがあったんです。
あれは3か月前のことです。
       ●●という団地の浴槽修理をした際、・・・。


つまり、それぞれの宣言を、
【宣言(主張)】+【理由(根拠)】+【エピソード(裏付け)】
というセットにして、書き直していただくことにしたのです。


それから連絡がなくなった津田さんの結果がどうだったのかは分かりません。

しかし、どれほど言葉を尽くしても、100%の思いを届けることは
できません。だからこそ、あなたはあなたの思いを伝えることに、
最善を尽くしてほしいのです。

「イヤなお客さんと付き合わなくていい方法」は、
「自分に期待を寄せてくれるお客さんに精一杯応える方法」
でもあります。

あなたの発するメッセージは、誤解なく相手方に伝わっていますか?



追伸:
それから2か月ほどたった今日、突然のメールが届きました。

「以前ご相談させていただいた、●●県営住宅の浴室修繕の件ですが、
 お陰様で今日契約となりました。本当にうれしいです。 」

言葉少なに書かれたそのメールは、相変わらず職人さんのそれでした。
しかし、わたしにとっては何物にも代えがたいものでもありました。

まずはおめでとうございました。
この場を借りてお祝い申し上げます。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平

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