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2009年03月25日(水)更新

「なんだか凄い」を、「やっぱり凄い」に変えるために。

こんにちは。
マーケティングトルネードの巽です。


少し古い話ですが、動画共有サイトで話題になった作品をご存知でしょうか?

「あの曲とこの曲はよく似ている。
 なぜなら、同じコード進行が使われているから。」

コード進行とは、「楽曲のメロディーを支配する伴奏の流れ」のことです。

動画の主は、往年のヒット曲を次々に引き合いに出しながら、
それぞれの楽曲同士が似通ってしまう構造的な理由を
分かりやすく解説していきます。

この動画は商用目的で作られたものではなさそうなので、
作者のちょっとした遊び心だったのかも知れませんが、
その反響は凄まじく、主要なニュースサイトでも取り上げられるほどでした。


さて、この動画で語られていた内容は、
音楽を多少かじったことのある人間ならば、
特に珍しい話ではなかったと思います。

しかし、その動画に寄せられたコメントの数々は、
音楽の玄人たちには、驚きだったに違いありません。

「え? それって、そんなに新鮮な話だったわけ?」

「これだけカラオケで歌われておきながら、今まで気がつかなかったってことなのか?」

そんな風に感じた人も多かったはずです。


動画の主が伝えたかったメッセージは分かりませんが、
この動画の反響から学べることは、2つあります。


ひとつは、適切な伝え方を選択することで、その効果は大きくなるということ。

もうひとつは、あなたが当たり前だと思っていることは、
思い込みに過ぎないかも知れないということです。


前回のコラムで私は、
「同業に笑われるくらいでちょうどいい」という趣旨のお話をしました。


これは、
「お客さんは無知だと思え」と言いたいわけではく、
「誰でも知っているようなことしか話さなくてもいい」と言いたいわけでもありません。


むしろその逆で、「せっかくの知識を、難しいまま伝えてしまう」ことが引き起こす、
機会損失を問いたかったのです。


例をあげてみましょう。

・創業200年
・貴重な●●●配合
・●●●特許取得済み
・業界初の●●機能搭載
・累計●●万部突破
・世界的権威からの推薦済み


なんだか凄そうですね。


でも、それがどう凄いのかについては、
「なんとなく」でしか伝わっていないと考えた方が無難です。

なぜなら、その業界に生きていないお客さんに対して、
それがどんなに凄いことなのかを理解してもらうには、
その凄さを説明してあげる必要があるからです。


先に挙げた動画共有サイトでの反響は、
分かりやすく伝えることによる「可能性」を物語るものです。


「こんな当たり前のことを書いたら、同業者に笑われるかもしれない」

そう思っているのは、あなたとあなたの同業者だけかも知れません。

「なんだか凄い」を、「やっぱり凄い」に変えるのも、
あなたの仕事なのです。



追伸:
私の原稿を、「より分かりやすい文章にする」お手伝いをしてくださる
編集者さんには、いつも感謝しています。




株式会社マーケティングトルネード
巽大平

2009年03月19日(木)更新

広告に写真・イラストは使うべき?

マーケティング・トルネード佐藤です。

今日は、広告とデザインの話です。



広告を出そうと思うとき、どんな社長でも迷います。
何に迷うのか?

お金を払って効果が無ければ、まったくの無駄遣いになるのを
知っているから投資を迷うのです。

そして、広告投資で失敗しないために、専門家に
相談しようとします。

すると、昔から言われている事柄を言われます。

『広告はブランドづくりのためにも、イメージを大切にするべし』
『そのためにも写真やイラストを工夫しなければならない』
『知名度を上げるためには、何度も、繰り返し、回数を多く広告を』

誰でも、なるほどね、と唸ります。
どれも正しく聞こえますから。


本当に正しいのでしょうか?


これ、正しいのです。
意外でしたか?

私は、イメージの良さは不要だとは思いません。
会社のイメージは良いに越したことはないからです。

私は、写真やイラストを広告に使うのが無駄だと思いません。
写真やイラストのほうが、文字よりも、より多くのメッセージを
伝える力を持っているのは事実だからです。

私は、認知度の高さが不要だとは言いません。
知名度が高ければ高いほど、購入してもらえることは、
データが証明しています。


しかし、私は安易にそれを薦めたりもしません。
なぜなら、「儲かる以上にお金がかかる」からです。

イメージ重視の広告を作って、多頻度で出す。
それをやると、多額のコストがかかります。
でも、そうしたコストを超える利益が生まれてくるのであれば、
じゃんじゃんやるべきなのです。

ところが、今の時代、なかなかそうはいきません。
多くの企業にとって、広告は、
「儲かる以上に金がかかる」という状況なのです。

では、我々中小企業はどうすればいいのでしょうか?
あなたはどう考えたら良いのでしょうか?

これへの答えはもちろんひとつじゃありません。
しかし、大事なことをひとつ伝えるとすれば、これです。

『今こそ、「何を伝えるか?」に集中して欲しい』
ということです。


簡単な例をあげましょう。
仮に、「笑顔教室」というビジネスを運営している会社があったとします。

そこで「笑顔が素敵な笑顔の先生」が広告を出したとします。
だけど、これだと儲かりそうもないですよね。
あなたも、「それで売れるの?」と心配になるはずです。


しかし、「JALが笑顔を学びに来る、笑顔の先生」と内容が変わったとします。
そうすると、とたんに先ほどよりも売れるにおいがしてきませんか?

さらに、「JALが笑顔を学びに来る、笑顔の先生。就職面接セミナー」
となると、どうでしょうか。
架空のビジネスですが、先ほどよりも、さらに売れる気配が増します。


なぜでしょうか?
どうして売れる気配が増すのでしょうか?

それは「何を伝えるか」の「何」を考えているからです。
写真やイラストは、「どう伝えるか」の「手法」なのです。


この「笑顔の先生」の広告を作るとき、笑顔を表現する方法として、
イラストの方が効果的なら、イラストを使えばいい。
笑顔の写真を掲載したほうが効果的になるのなら、写真を使えばいい。

しかし、「何を伝えるか」の部分を、置き去りにしたまま、写真を使うべきか、
イラストは効果的か、を議論しても無益なのです。

『広告はブランドづくりのためにも、イメージを大切にするべし』
『そのためにも写真やイラストを工夫しなければならない』
『知名度を上げるためには、何度も、繰り返し、回数を多く広告を』
これは正しいですが、今のようなシビアな時代は、
それ以前に、「何を」をしっかり考えるのが大事です。

ぜひ、広告作りの際に、少しだけ思い出して欲しいです。



株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年03月18日(水)更新

「新事業」より「芯事業」

マーケティング・トルネードの一條です。
前回、新規事業の立ち上げ方について書いたのですが、
さっそく、コメントを頂きました。

こうやってコメントを頂くと、頑張って書いている甲斐があるというもの。
今日も、はりきって書きますね。


■「新事業」より「芯事業」

さて、前回頂いたコメントはとても興味深いものでした。
まずは頂いたコメントをご紹介します。

> 当社も今までに培った技術、資料などを資源として、お客様が
> どのようなことに興味をもたれているか、とりあえずサイトでテスト
> していますが、非常に反応があります。「新事業」より、まず「芯事業」
> かもしれません。ありがとうございました。


いったい、自社の芯となる事業は、何なのか?

私も、「自社の芯となる事業が分からない」とご相談を受ける
ケースがあります。


なんとなく売上は上がっている。
けれど、「弊社は○○に強い会社です!」と言える○○は
無いような気がする・・・。

このような状況なのですが、しかし、だからと言って、
これらの会社さんに「芯事業」がないということではありません。

ではなぜ、芯がないように感じるのか?


少し、お話ししていきましょう。
今日のテーマは、御社の芯事業を見つける方法です。


■すべてが違う事業だった


今の事業はあるし、売上も上がっている。
それなのになぜ、自社には芯がないと感じるのか?


それは『複数の事業を、ひとつの事業として捉えているから』かも知れません。


弊社ではマーケティングの基本として、事業を、【お客さん】【商品】
【販売方法】の3つの要素の掛け算で考えることをお勧めしています。


・お客は誰か?
・商品は何か?
・どうやって売っているのか?

この3つの要素です。


御社のお客さんは、法人なのか個人なのか?
法人であれば、どんな業種なのか? どれくらいの規模なのか?
個人であれば、男性なのか、女性なのか? 大人なのか、子供なのか?
地域に偏りはあるのか?

商品は何か。サービスなのか、モノなのか?

販売の方法は、対面販売なのか? 店舗に来てもらうのか?
営業で相手を訪問するのか? コールセンターを使うのか、
インターネットでの通販なのか?


例えば、【お茶】を販売している会社があります。

・この会社では、営業マンが法人を回ってお茶の注文を取っています(A)
・この会社では、新聞にチラシを折り込んで、電話でお茶の注文を
 受け付けています(B)
・この会社では、インターネットのホームページからお茶の注文を
 受け付けています(C)


ここで質問です。
この会社には、いくつの事業があるでしょう?


「え?事業って言ったって、お茶を売る事業、ひとつだけなんじゃ・・・」


そう考えるのも無理はありません。

だって、商品は【お茶】ひとつだからです。

しかし、思い出して頂きたいのです。


先ほど事業は、【お客さん】【商品】【販売の方法】の3つの要素の
掛け算で出来ているとお話ししました。

つまり、この3つのうちのひとつでも変われば、今まで通用していた
ノウハウは通用しなくなるのです。

例えば、法人営業用の営業トークは、個人のお客さまからかかってきた
電話を受けるコールセンターのトークには使えません。

ホームページの申込ボタンをどこに配置すればいいのかという
ノウハウは、新聞折り込みチラシのノウハウとはまた別のノウハウです。


今、上記のA、B、Cのそれぞれで売上が上がっているのであれば、
この会社にはA、B、Cの3つの事業のノウハウがあるということなのです。


しかし、もし仮にこの3つの事業を、【お茶を販売する】というひとつの
事業だと捉えていたとしたら?


それぞれのノウハウがごちゃごちゃになって、混乱してしまうかも
知れません。

その結果、「うちには芯となる事業がない・・・」と思う社長さんが
いてもおかしくはない。

しかし、芯がないわけではないのです。


そこで、御社の芯事業を見つけるために、まずやってみて頂きたい
ことがあります。とても簡単な2つのステップです。

ステップ1.
まず、今のお客さん、今の商品、今の販売方法をそれぞれ書き出してみる。

ステップ2.
全部書き出したら、お客さんと商品と販売方法の【3点セット】の
組み合わせをすべて書き出す。

これだけ。

【お客さん】が違えば、それも別事業として書き出します。
【お客さん】と【商品】が同じでも、【販売方法】が違えば、別事業です。


こうして分解した結果、自社の中にはいくつもの【3点セット】が
あることに気付かれた方もいらっしゃるかも知れません。

この過程でどの【3点セット】が伸びているのか、テコ入れをするべき
【3点セット】はどれなのか、これから育てたい【3点セット】は
どれなのかもはっきりしてきます。

あとは、それぞれの【3点セット】に対して、必要な取り組みを
していけばいい。


私は、御社の中には、芯となる事業はいくつもあると思っていますし、
いくつあってもいいものだとも思います。

そして、それらの芯は、優先順位が入れ替わったり、
形を変えたりしながら、御社を支えていく。


是非、御社の中にある【3点セット】のひとつひとつに光を
当ててみて頂きたいと思っています。

それではまた次回、この場所でお会いしましょう。





マーケティング・トルネード
一條仁志

2009年03月06日(金)更新

同業に笑われるくらいで丁度いい

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。

真面目で、勉強熱心で、責任感が強く、
深い専門知識を持っているサイトオーナーほど、陥りがちなミスがあります。

それは、「書いてある文章が難しい」という問題です。

弊社のクライアントの例で言うと、
「就業規則の作成」というサービスを売っている社労士さんや、
「法手続きの代行」というサービスを売っている行政書士さんなど、
専門的なサービスを提供している方に多くみられる現象です。

けれども、ホームページにやってくるお客さんは、
あなたの仕事やサービスの内容をを知り尽くしているプロではありません。
分からないからこそ、情報収集を行っているのです。

「分からないこと」「できないこと」を肩代わりするサービスを
提供しているにもかかわらず、一定の知識を持った人にしか
理解できない文章で埋め尽くされているとしたら、どうでしょう?

「そこに書いてある文章を読みこなせるくらいなら、アンタに頼んじゃいませんよ。」
という声が聞こえてきそうです。

では、どうすればよいのか?月並みな言い方になりますが、
「簡単で、簡潔で、分かりやすい」文章を作成するように
心がけて頂きたいのです。

具体的には、

・一文を短く
・平易な言葉でわかりやすく
・ときには比喩や別のものに置き換え

といった、あなたなりに翻訳する努力を行ってほしいのです。

これはなにも、面白い文章を書いたり、文法的に間違いのない文章を
書けっていうわけじゃないんですよ。


たとえば、パソコンに搭載されている、「メモリ」と「ハードディスク」。
両者の違いを説明しなければならないとしたら、あなたならどう答えますか?

「メモリは机の大きさで、ハードディスクは引出しの大きさ。
どちらも大きいに越したことは無いけれど、最後は財布と相談だわな。」
こんな説明をするかもしれません。

なんとなく分かったような気になりますが、
コンピュータの専門家から言わせると、何も説明されていないに等しいですよね。

でも、それでいいんです。
お客さんからすれば、あなたが自分の期待に応えてくれそうな人なのかどうか、
吟味するための材料としてあなたからの情報を受け取っているのですから。


そういうと、こんな心配をされる方がいます。

「あまり簡単な文章ばかりだと、同業からバカにされるんじゃないかと心配なんです。」

でも、よく考えてみてください。

あなたの情報を必要としている人は、あなたのライバルではないはずです。
あなたが情報を提供したいと思っている人も、あなたのライバルではないはずです。

それは、店舗を営む焼き肉屋さんであっても、
カー用品を取り扱うショップであっても、
専門サービスを提供している先生であっても同じ。

あなたが向き合うべきお客さんが誰なのかを考えれば、
そこで使われる言葉や表現も、きっと変わってくるはずです。

「分かりやすい」からこそ、親しみも持てるわけです。
「理解できる」からこそ、関係も築けるのです。

もちろん、内容を正確に保持したまま、分かりやすく噛み砕いて
表現することは至難の業です。ときには、分かりやすさを優先するが故に、
中途半端な情報になってしまうことへのストレスを感じることもあるでしょう。

しかし、忘れないでほしいのです。
あなたの情報を待っているお客さんは、あなたのビジネスのプロではない事を。
だからこそ、あなたの言葉で翻訳されたコンテンツには価値があるのです。


そうです。
ホームページに掲載する情報は、同業に笑われるくらいで丁度いいのです。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平