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2009年07月21日(火)更新

「片思いビジネス」脱出のヒントはここに

こんにちは。マーケティング・トルネードの一條です。

前回も書きましたが、3週間、アメリカに行っていました。
いろいろな社長さん、オーナーさんにもお会いしたのですが、その中に、
現地で大々的に飲食店を展開している方がいらっしゃいました。

この方、8店舗を運営していて、その売上合計が年間40億円。
通常、飲食業では1店舗1億円の売上があれば、大成功と言われるそうですが、
彼に限って言えば、1店舗あたり、5億円という破格の売上です。

その彼に、聞かれました。

「今、業績が落ちてきたお店があるのだけれど、この店を立て直すとしたら、
一條さんなら何から始められますか?」

私は、「今、お店に来てくださっているお客さんをつかまえて、
『なんで他のお店ではなくこの店に来てくれたのか?』
『なんで先月でもなく、来月でもなく、今日、来てくれているのか?』
を聞きますね」
と答えました。

すると彼は顔を曇らせて言うのです。
「それはできない。なぜなら私たちはサービス業をしているのです。
だから、私たちは、どうやったらお客さんが喜んでくれるのか、
何を求められているのかを、お客さんに聞くのではなく、
自分たちで試行錯誤していかないといけないのです」

実は、飲食業に関わらず、こういう話をお聞きすることは初めてではありません。
そして、その打開策もある。

私が、「なるほどね。そういうときはね、こうするといいですよ。・・・・」と、
内緒話をお伝えしたところ・・・・。

彼の眼がとたんにパッと明るくなりました。
この瞬間が、私にとって一番うれしいんですよね。


■それって、「片思い」???


さて、私が彼に伝えた内緒話のご紹介は後でするとして、
彼と同じように考えている方は多いです。つまり、

・どうやったらお客さんが喜んでくれるか
・お客さんは何を求めているか

を、

・お客さんに聞くことなく、自分たちで試行錯誤して見つけようとする。



私はこのスタイルを、「片思いビジネス」と呼んでいます。


片思い。
誰にでも経験があることと思いますが、思春期の頃、好きな人が出来ると、
・相手が自分のことをどう思っているのか?
・あの行動は変に思われたのではないか?

あることないこと、いつも気になって夜も眠れない。
こんな経験をされた方も多いと思います。


「片思いビジネス」はこの状況のビジネス版です。

・お客さんはこう思っているのではないか?
・ウチはここがダメなのではないか?

そうやって自分たちの中だけで試行錯誤していく。

その結果、自分の強みがなくなってしまう会社さんは本当に多いのです。
お客さんの要望や想いとはかけはなれた商品サービスを提供してしまうこともある。

これでは、お客さんを増やしたり、繰り返しのお付き合いをさせて頂くことは
むずかしいかも知れません。

もしも、この状況を避けたいのであれば・・・。
お客さんに直接聞けばいいのです。


■ただし、問題は・・・


ただし、問題は、直接聞いても、本音を話してもらえないことなんです。


だから、本音を聞くために、質問の手順を踏む必要がある。

逆にいえば、きちんと手順を踏みさえすれば、お客さんから直接本音を
聞き出すことは出来る。


その手順については、このコラムでも何回かご紹介してきました。

詳細については、日本実業出版社さんから出ている弊社代表の佐藤の書籍
『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』にも詳しく書いています。


ひとつ、コツを付け足すとすれば、質問する相手を、もう既に御社の商品や
サービスをご利用された方にすることです。

なぜなら、その人は、御社のことを知っています。
しかも、実際に商品やサービスを購入しているので、単なる批評家になることもない。

地に足がついた本音が聞けるはずです。


私は、今、『集客アップのコンサルティング』、『書籍の出版プロデュース』、
『既刊本の販促』、『営業トークの研修』と、一見するとまったく関連がないような
複数の仕事をしています。

しかし、実は共通点がある。

それは、どの場面でも、お客さんの本音を聞き出す技術を
お伝えしているということです。

なぜなら、御社が売上を伸ばし、お客さんがリピートしてくれるような
「両想いビジネス」は、まず、お客さんの本音を聞き出すところから始まるからです。

その威力は、これまでの研修参加者さんやコンサルティングのクライアントさんが
証明してくれているようで、これもありがたい限りです。

何かの参考にして頂ければと思い、今日は、それらの声の一部を下記で
ご紹介させて頂きますね。

http://sk-seeker.jp/comment.html


営業にも、販促にも、新商品開発にも、社内のモチベーションアップにも
使えるお客さんの本音。

この紙面では御社に向けた個別のアドバイスを差し上げることは適いませんが、
ぜひ、どうやったら御社のお客さんの本音を聞き出せるか、
考えて試して頂きたいと思います。


その時はくれぐれも、聞く相手を間違えないように。

恋愛と違って、ビジネスでは、すでにお付き合いのある人に
聞くというのが最大のコツですから。


お客さんの本音が分かれば、より喜んでくれる商品やサービスを
提供することも出来ます。


今になって、思春期の片思いを振り返ると、
「そんなのひとりで悩まないで、相手に聞けばよかったのになぁ」と
気がつくものですが、その時は、なかなか気がつかないものなんですよね(笑)

ビジネスもまったく同じ。

あることないことを気にするくらいであれば、お客さんに
聞いてしまえばいいのです。そうすれば、お客さんが今、
評価してくれている部分を伸ばしていくことができるからです。

それが売上につながるのですから、やって損はないと思います。
当然、お客さんの数もついてきます。

あれこれ自分で悩まずに、
しっかり手順を踏んで、ストレートに聞く。

ぜひ、試して頂きたいと思います。


■新しいレストランに長蛇の列が・・・


さて、話はアメリカに戻ります。

ちょうど彼と話したその日は、彼の新店舗のオープン前日でした。

彼は私の話を聞いた後で、既存の店舗のお客さんに電話をしまくって、
なぜ自分のお店に来てくれたのかを聞きまくったそうです。

その結果、新規店舗の前には、2時間待ちの長蛇の列ができていました。

あんなに、お客さんには聞けないと言っていた彼が、どうやってお客さんから
本音を聞き出すことに成功したのか。

私が彼にしたアドバイスは、お客さんが「質問に答えたくなる」前振りを
することです。

具体的に言うと、いきなり
「本音を聞かせて下さい」と聞くのではなく、
質問の前に、
「これからますます、あなたに喜んで頂ける料理・サービスを
提供したいと思っています。
ついては、是ぜひあなたのご協力を頂きたいのですが、
いくつか教えてもらっていいですか?」
という言葉を言ってもらうようにしたのです。

こうすれば、本音を話すことが、お客さんにとってのメリットになりますね。
だから、スムーズに本音を聞き出すことができたわけです。

前振りひとつで、成果は大きく変わります。
ぜひ、参考にして頂ければうれしいです。

今日はここまで。
なにかひとつでもお役に立つ部分があれば、とてもうれしいです。
御社の成功を、願っています。


マーケティング・トルネード
一條仁志



『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』(佐藤昌弘著、日本実業出版社刊)

2009年07月08日(水)更新

コンサルティングの現場から

こんにちは。
今日のコラムでは、実際にあった相談事例をご紹介します。

この方は、成功するような広告宣伝を作りたいと思いながらも、
あることで悩まれていたようです。

その悩みが、次のような質問という形で届きました。

****************************【質問】****************************
いま、とても悩んでます。
私は従業員50名の会社を経営してます。
私は●●を、個人ユーザーや法人ユーザーに営業して施工する仕事です。

新聞広告などをやってみるものの、見込み客からの問い合わせがありません。

そこで、いろんなノウハウ本などを読み漁り、広告を作ろうとするのですが、
『客の不安を煽りたてるような方法でも良いのか?』と不安になります。

効果はあるのかも知れないのですが、何か嫌な感じがするのです。

佐藤先生のご意見を、よろしければお伺いできないでしょうか?
勝手なお願いでなんですが、お時間許せばアドバイス願います。

*******************【以下、ひとつの回答】************************

佐藤です。
これは、ずっと前にいただいたご質問でしたが、
非常に具体的なご質問だと思います。

こうした事で悩まれている人が、実際には多くいます。

そこで、私が自社で発行しているメルマガにも書いた内容なのですが、
ここでも加筆修正してお話ししたいと思います。


さて、まず、この質問者さんの「不安」は部分的に正しいのです。

…っていうのは理由があります。
ちょっと次のキャッチコピーを比較してみて下さい。

【1】「なぜか不幸が続く厄風水の住宅(10症例)」

【2】「なぜか幸せが続く住まいの風水間取り8つのポイント」

両方とも、ガイドブックや無料DVDのタイトルにすると資料請求があります。
家づくりに関心をもつお客さんを集めるためのガイドブックというわけです。


さて、どちらが反響が良さそうですか?

(※実際の実例をご紹介すると支障があるので、
  タイトルは修正してありますのでご了承を)

おそらく【1】のほうが、反応は良いと思われるはずです。
実際に、資料請求の数自体は、【1】のほうが多いのです。


ところが、セールスを始めた途端に、困った事になる事が多いのです。
【1】の広告には、ネガティブなお客さんばかりが集まるからなのです。

息子が働かない。
結婚しない娘と母親の仲が悪い。
家族に病人がいてオカルトな原因を信じ込んでいる。
そんなお客さんが多くて、営業マンがセールスをしていても、
精神的に疲れるのだそうです。


確かに【2】だと、【1】よりは反応件数は少ない。
でも、反対に、とても良いお客さんばかりが寄ってくるのです。



つまり、「どちらのタイプのお客さんを集めたいのか?」
実を言うと、それさえコントロールが出来てしまうっていう事でもあります。

しかも、売上高で比較すると、【1】よりも【2】のほうが良くなったりするのです。

一般的に、激しく感情を揺さぶろうとすると、【1】までは極端じゃないにしても
そうした傾向に走ってしまう人が多いと思います。



もしかしたら、この質問者さんは、本能的にそれを
危惧しているのかも知れません。
ただ、その危惧をちゃんと理論的に説明できないだけなのかも知れません。

インターネットという世界になると、特にそうです。
「類は友を呼ぶ」と言いますが、
「広告は、それに共鳴した客を呼ぶ」のです。

ぜひ、ちょっとだけでも参考にしてみて下さい。


あなたはどんなお客さんと一緒にいたいですか?

それを考えることは、とても大切だと思います。


以上




株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役
satou

2009年07月01日(水)更新

テコ入れの優先順位

いつもご愛読ありがとうございます。
マーケティング・トルネードの巽です。


先日、ある歯医者さんから、歯のホワイトニング広告を作りたいという、
広告制作のお問い合わせを頂きました。


無痛治療の分野では人気らしく、患者さんからの評判も上々。
ただ、その人気ゆえに、予約が取りづらかったり、
待ち時間が長くなってしまうことがあるとのこと。

そのため、リピート対策は行っているものの、
流出していく患者さんも多いのだそうです。

そこで、院長先生が思いついたのが、
利益の大きいホワイトニング(歯を白くする審美治療)を
チラシ一発で売ること。


同じビル内にやってくる人にハブラシを無料配布しながら、
ホワイトニングのキャンペーンチラシを
一緒に渡そうと思い立ったのだそうです。


一方、当方にはどんな形で打診があったのかというと、
「歯ブラシと一緒に渡すキャンペーンチラシを作ってほしいのですが・・・」
こんな感じでした。


ただ、私たちをマーケッターと見込んでのご相談であることは、
こちらも百も承知です。効果が見込めるものなのかが分からない状態で
「はい。分かりました」と引き受けるわけにもいきません。


そこで、「分からないことはお客に聞け」という佐藤の言葉通り、
色々と現状について質問をさせていただいたのです。


すると、どうやら今回のキャンペーンは、うまくいかないような気がしました。
新規でいきなりホワイトニングをお願いしてきた患者さんが
今まで一人もいなかったからです。


「・・・やっぱりか・・・」と思い、もう少しヒアリングをしてみると、
ホワイトニングを受けられる患者さんは、決まったステップを
踏んで患者さんになられていることに気づいたのです。

治療が終わったばかりの患者さんに提案を行うと、
非常に高い確率でホワイトニングサービスに興味を持たれるのだといいます。


ということは、患者さんに一度でも診察台に乗っていただけさえすれば、
効率的にホワイトニングを受注することができるのではないか?

治療後のトークを院内で標準化するほうが、
全体の底上げに寄与できる可能性が高いのではないか?


結局、新規のホワイトニング客を捉まえることが得策ではないと思った私は、
失礼を承知で

「それなら、今回の集客アイデアはうまくいかないかも知れません。
 歯ブラシと一緒に案内をすべきは、ホワイトニングではなく、
 むしろ新規の歯科検診ではないでしょうか?
 (もちろん、治療直後というタイミングを創出するために)」



これには先方も非常に納得がいった様子で、
とりあえず今回のキャンペーンは見送ることになりました。


そんなわけで、今回のお仕事はなくなってしまったわけですが(苦笑)
せっかくのやる気に水を差してまで進言させていただいたことには、
理由があるのです。


集客の柱を複数つくる取組みは重要だと分かっています。
その実現には、さまざまなトライが必要なことも知っています。


だからこそ、クライアントさんには、
なるべく大失敗のないチャレンジをしてほしいと願っているのです。

業績アップのヒントは、毎日の企業活動の中ですでに示されていることが
多いものです。

「どうすれば儲かるのか?」ではなく、
「どうすればあの状況を再現できるのか?」

こんな観点から今の仕事を見直してみられるのも、
たまにはよいかも知れません。

なぜなら、マーケティングは科学なのですから。


株式会社マーケティングトルネード
巽大平